痩身

メディカルダイエットは医師の管理下で薬を使う医療痩身、GLP-1や漢方など方法で効果も副作用も違う

内海

メディカルダイエットとは、医師の診察を受けたうえで、肥満症の治療薬や医療機器を使って体重を減らしていく医療行為です。自己流の食事制限とは違い、GLP-1受容体作動薬・防風通聖散などの漢方・ゼニカル(オルリスタット)といった薬を、体質や健康状態に合わせて医師が選びます。薬ごとに作用のしくみも、減りやすさも、副作用も大きく異なります。この記事では、代表的な薬の臨床試験データと添付文書をもとに、効果・副作用・費用・向き不向きを整理します。

はじめに:体重を減らす薬は「飲めば自動的に痩せる魔法の薬」ではありません。GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬は、本来は肥満に関連する健康障害を持つ人のための医薬品であり、食事・運動の見直しと併用することが前提です。美容目的での使用は自由診療となり、医師の管理が欠かせません。

メディカルダイエットは「薬や医療機器を医師の管理下で使う痩身」を指す

メディカルダイエットは、医療機関で行う体重コントロールの総称です。明確な医学用語というより、クリニックや一般向けに使われる言葉で、内服薬・注射薬・脂肪を扱う医療機器(医療痩身マシンなど)まで幅広く含みます。この記事では、検索する人の関心が高い「薬を使う方法」を中心に扱います。

市販のサプリメントやエステとの一番の違いは、医師が診察し、血液検査などで体の状態を確認したうえで処方・施術する点です。薬には必ず副作用があり、持病や飲み合わせによっては使えないこともあるため、医師の判断が入ること自体が安全側の仕組みになっています。

薬を使うメディカルダイエットには大きく3タイプがあり、作用のしくみが異なる

内服・注射で使われる代表的な薬は、働き方で3つに分けられます。それぞれ「どこに効くか」が違うため、効果の出方も副作用も変わります。

タイプ 代表的な薬 主な作用 飲み方/打ち方
GLP-1受容体作動薬
(GIP/GLP-1も含む)
セマグルチド(ウゴービ等)、チルゼパチド(マンジャロ等) 食欲を抑え、胃の動きをゆるやかにして食事量を減らす 週1回の皮下注射が中心(経口薬もあり)
脂肪吸収を抑える薬 オルリスタット(ゼニカル) 腸で脂肪を分解する酵素を邪魔し、脂肪の吸収を減らす 食事のたびに内服
漢方薬 防風通聖散 便通や代謝にはたらきかけ、腹部の皮下脂肪・便秘などの症状を整える 1日2〜3回内服

GLP-1受容体作動薬は食欲を抑えて食事量を減らすことで体重を落とす

GLP-1(ジーエルピーワン)は、もともと体の中で食後に分泌されるホルモンです。脳の満腹中枢にはたらきかけて「お腹いっぱい」という感覚を早めに起こし、胃から腸へ食べ物が移るスピードをゆるやかにします。GLP-1受容体作動薬は、このホルモンと同じ受け皿(受容体)を刺激する薬で、その結果として自然と食べる量が減り、体重が落ちていくというしくみです。

もともとは2型糖尿病の薬として開発され、血糖値を下げる作用が知られていました。そこから減量効果が確認され、肥満症の治療薬としても使われるようになっています。日本では、セマグルチド製剤の「ウゴービ」が肥満症治療薬として承認されています。

セマグルチドは68週で平均14.9%の体重減少が報告されている

セマグルチド2.4mgを週1回投与した国際的な臨床試験(STEP1試験)では、糖尿病のない過体重・肥満の成人を対象に、68週間(約1年4か月)で平均14.9%の体重減少が報告されました1。プラセボ(偽薬)群は2.4%の減少にとどまり、その差はおよそ12ポイントです1。体重80kgの人なら約12kgに相当する計算になります。

減量の達成度合いを見ると、5%以上減った人はセマグルチド群で86.4%、10%以上は69.1%、15%以上は50.5%でした1。ただしこれは食事・運動の指導を併用したうえでの数値であり、薬だけで得られた結果ではない点に注意してください。

チルゼパチドは72週で最大22.5%の体重減少が報告されている

GIPとGLP-1の2つの受容体にはたらく薬がチルゼパチド(マンジャロ等)です。肥満の成人を対象とした臨床試験(SURMOUNT-1試験)では、72週間で15mg投与群が平均22.5%の体重減少を示しました2。日本ではマンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、肥満症単独に対する国内承認の範囲は薬剤・用量により異なります。減量目的での使用可否は医師に確認してください。

注射薬は誰でも使えるわけではありません:GLP-1受容体作動薬などの注射薬は、本来は肥満に関連する健康障害を持つ人のための医薬品です。BMIが標準範囲の人が美容目的で使うことは想定されておらず、自由診療となります。妊娠中・授乳中の人、膵炎の既往がある人、甲状腺髄様がんの既往・家族歴がある人などは使えない場合があります。必ず医師の診察を受けてください。

GLP-1受容体作動薬の副作用は吐き気・下痢など消化器症状が中心

GLP-1受容体作動薬で最も多い副作用は、胃腸の症状です。臨床試験で5%以上の人に報告された副作用には、悪心(吐き気)、下痢、嘔吐、便秘、消化不良、腹痛、食欲減退、頭痛などがあります3

これらの症状には、出やすい時期の傾向があります。

  • 出やすい時期:飲み始め・打ち始めや、用量を増やした直後に集中しやすいとされています。
  • 落ち着く傾向:体が慣れるにつれ軽くなることが多く、一定量で続けると胃腸症状は減っていく傾向が報告されています2
  • 増量を急がない理由:少量から始めて段階的に増やすのは、この胃腸症状をやわらげるためです3
受診が必要なサイン:強い腹痛が続く、嘔吐が止まらない、背中まで広がる激しい痛みがある場合は、急性膵炎などの可能性があるため、自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。

ゼニカル(オルリスタット)は脂肪の吸収を抑える薬で油性便が起こりやすい

オルリスタット(商品名ゼニカル)は、食事に含まれる脂肪を分解する酵素「リパーゼ」のはたらきを邪魔する薬です。脂肪が分解されないと体に吸収されず、そのまま便として出ていくため、結果として摂取カロリーが減ります。食欲には作用せず、あくまで「食べた脂肪の一部を吸収させない」タイプです。

このしくみのため、吸収されなかった脂肪が原因の副作用が起こります。代表的なのが、油のような便(油性便)、便がもれる、おならと一緒に油が出る、便の回数が増えるといった症状です。脂肪分の多い食事をとるほど起こりやすくなります。これらは飲み始めの時期に目立ち、慣れると軽くなることがあります。

日本では未承認の薬です:オルリスタットは日本国内では肥満治療薬として承認されておらず、保険適用もありません。脂溶性ビタミン(A・D・E・Kなど)の吸収が落ちることがあるため、使う場合は医師の管理のもとでビタミン補給などへの配慮が必要です。

防風通聖散は腹部に皮下脂肪が多く便秘がちな人の肥満症に使われる漢方

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、医療用としても市販薬としても使われる漢方薬です。医療用の効能・効果は「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状、肥満症、むくみ、便秘」と定められています4。便通を整えながら、体質に合った人の肥満症の症状にはたらきかけます。

注意点として、防風通聖散にはカンゾウ(甘草)が含まれます。とりすぎると、血圧上昇やむくみ、血液中のカリウムが下がる「偽アルドステロン症」が起こることがあります4。ほかの漢方薬やグリチルリチンを含む薬と併用するとカンゾウが重複するため、医師・薬剤師に伝えてください。GLP-1のような大きな減量を狙う薬ではなく、体質と症状に合う人に向く穏やかな選択肢です。

「やせ薬」として安易に使わない:防風通聖散は誰でも飲めば痩せる薬ではありません。体力が中等度以上で、便秘がちといった「証(体質)」に合うことが前提です。下痢や発汗過多、まれに間質性肺炎・肝機能障害などの重い副作用も報告されているため、市販薬でも漫然と長期使用せず、合わないと感じたら中止して相談してください4

3タイプは効果の大きさ・対象・主な副作用で選び分ける

どれが優れているということではなく、目的・体質・健康状態によって合う薬が変わります。数値で比べると違いがはっきりします。

項目 GLP-1/GIP受容体作動薬 オルリスタット(ゼニカル) 防風通聖散防風通聖散
減量の目安 大きい(68週で約15%1〜72週で約22%2 中程度(食事の脂肪量による) 穏やか(体質が合う人の症状改善)
主な副作用 吐き気・下痢・嘔吐などの胃腸症状3 油性便・便もれ・脂溶性ビタミン低下 下痢・発汗・カンゾウによる影響4
日本での承認 セマグルチド(ウゴービ)は肥満症で承認 肥満治療薬として未承認 医療用・市販ともにあり
向く人 健康障害を伴う肥満で減量幅が必要な人 脂っこい食事が多い人 腹部皮下脂肪・便秘がちで体質が合う人

美容目的のメディカルダイエットは自由診療で月数万円が目安

肥満症の保険診療と、美容目的の自由診療では費用が大きく変わります。BMIなどの基準を満たし保険が適用される場合と、美容目的で自由診療になる場合では、自己負担額が一桁変わることもあります。

  • 保険適用の肥満症治療:ウゴービはBMIや肥満に関連する健康障害などの条件を満たした場合に保険適用となり、自己負担は用量・割合により異なります。適用条件は最適使用推進ガイドラインで定められています5
  • 自由診療(美容目的):クリニックや用量によって幅がありますが、薬代だけで月数万円程度が一つの目安です。これに加え、診察料・血液検査・配送料などがかかる場合があります。

金額はクリニックや時期で変動するため、契約前に総額と内訳を必ず確認してください。

個人輸入で薬を入手しないでください:GLP-1受容体作動薬やゼニカルを、海外通販や個人輸入代行で入手する方法は強くおすすめできません。偽造品や品質不明の薬が混じるリスクがあり、医師の診察なしで使うと重い副作用が出ても対処できません。厚生労働省も、個人輸入した医薬品による健康被害は公的な救済制度の対象外になり得ると注意を促しています。必ず医療機関で処方を受けてください。
医療ダイエットは医師の管理のもとで
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よくある質問

メディカルダイエットの薬は市販で買えますか。

GLP-1受容体作動薬は医師の処方が必要な医薬品で、市販されていません。オルリスタット(ゼニカル)も日本では未承認のため一般の薬局では取り扱いがありません。防風通聖散は市販薬がありますが、市販でも体質に合うかの確認は必要です。

効果はどのくらいで出ますか。

GLP-1受容体作動薬の臨床試験は数か月から1年以上かけて減量幅を評価しています1。短期間で劇的に変わるものではなく、食事・運動と併せて続けることが前提です。数日で体重が大きく落ちる薬ではありません。

薬をやめたら元に戻りますか。

肥満症治療薬は、やめると食欲が戻り体重が再び増えやすいことが知られています。薬はあくまで補助であり、生活習慣の見直しを並行して続けることが、変化を保つうえで重要です。中止のタイミングは自己判断せず医師に相談してください。

糖尿病ではないのにGLP-1の薬を使って問題ありませんか。

セマグルチド製剤のウゴービは肥満症治療薬として承認されていますが、対象となるBMIや健康障害の条件が定められています5。条件を満たさない美容目的の使用は自由診療となり、リスクと費用を理解したうえで医師と相談して決める必要があります。

参考文献

1 Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity (STEP 1). N Engl J Med. 2021;384:989-1002. リンク
2 Jastreboff AM, et al. Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity (SURMOUNT-1). N Engl J Med. 2022;387:205-216. リンク
3 厚生労働省 セマグルチド製剤の最適使用推進ガイドライン(肥満症)に関連する添付文書情報・副作用情報(PMDA医薬品情報) リンク
4 ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)添付文書(効能・効果、使用上の注意、副作用)PMDA医療用医薬品情報 リンク
5 厚生労働省 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(販売名:ウゴービ皮下注)(PMDA) リンク

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