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ウゴービはBMI27以上の肥満症に保険適用される週1回注射のセマグルチド製剤

内海

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、食事療法・運動療法だけでは管理できない「肥満症」に対して、医師の管理下で使う週1回の皮下注射薬です。糖尿病治療薬オゼンピックと同じ成分ですが、ウゴービは肥満症が適応で、最大用量が2.4mgまで増量できる点が異なります。公的医療保険が使えるのは高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを併発し、BMIが27以上で関連する健康障害が2つ以上ある場合、またはBMIが35以上の場合に限られ、処方できる医療機関も限定されています1。美容・痩身・ダイエット目的での使用は添付文書とガイドラインで明確に認められていません1。この記事では、適応条件・効果・副作用・オゼンピックとの違い・処方先を一次資料に基づいて整理します。

ウゴービはGLP-1受容体に作用して食欲を抑える肥満症治療薬です

ウゴービの主成分セマグルチドは、ヒトのGLP-1(消化管から出るホルモン)とよく似た構造を持つGLP-1受容体作動薬です。食事をとると分泌されるGLP-1の働きをまねて、脳の食欲を司る中枢に作用し、空腹感を抑えて満腹感を持続させます。あわせて胃の中身が腸へ送られる速度をゆるやかにするため、食事量が自然に減り、結果として体重が落ちる仕組みです1,4

同じ成分が、用量や適応を変えて複数の製品になっています。注射のオゼンピックは2型糖尿病が適応で、経口薬のリベルサスも2型糖尿病が適応です。ウゴービは、この成分を「肥満症」という病気の治療に使うために開発され、2023年3月に国内で承認、同年11月に薬価収載されました2

ウゴービの保険適用はBMI27以上+健康障害2つ以上、またはBMI35以上が条件です

ウゴービは「最適使用推進ガイドライン」の対象薬で、保険で使える患者の条件が細かく定められています。投与にあたっては、以下のすべてを満たす肥満症であることを医師が確認します1

  • 基礎疾患:高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断があること。
  • 体格:BMIが27kg/m²以上で、肥満に関連する健康障害を2つ以上もつ。または、BMIが35kg/m²以上であること。
  • 生活習慣の治療歴:適切な食事療法・運動療法の計画に基づく治療を6か月以上行っても十分な変化が得られないこと。この間、2か月に1回以上、管理栄養士の栄養指導を受けていること。
  • 合併症の治療:併発する高血圧・脂質異常症・2型糖尿病に対し、すでに適切な薬物療法などが行われていること。

BMI27以上の場合に数える「肥満に関連する健康障害」は、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病の11種類が挙げられています1

痩身・ダイエット目的では使えません:ウゴービは肥満症の治療薬であり、添付文書とガイドラインで「効能・効果以外の美容・痩身・ダイエットなどの目的では使用しないこと」と明記されています。低体重・普通体重の人への減量目的の処方は想定されていません1

処方できるのは限られた診療科を標榜し専門医が在籍する医療機関だけです

ウゴービは、施設要件と医師要件を満たす医療機関でのみ使われます。具体的には、内科・循環器内科・内分泌内科・代謝内科・糖尿病内科のいずれかを標榜し、日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本内分泌学会のいずれかの専門医が常勤として1人以上在籍している必要があります1

担当医にも、初期研修修了後に高血圧・脂質異常症・2型糖尿病と肥満症の診療を5年以上行うなどの臨床経験が求められます1。つまり「どこの美容クリニックでもすぐに保険で出せる薬」ではなく、生活習慣病を専門的に診る医療機関での処方が前提です。受診先を探す際は、これらの診療科を掲げ肥満症の治療実績がある医療機関かを確認するとよいでしょう。

1回使い切りのペンを0.25mgから16週かけて2.4mgまで増やします

ウゴービは胃腸の副作用を抑えるため、少量から始めて段階的に増量します。週1回の皮下注射で、4週間ごとに用量を上げていく流れです1,4

  • 1〜4週目:0.25mgを週1回。
  • 5〜8週目:0.5mgに増量。
  • 9〜12週目:1.0mgに増量。
  • 13〜16週目:1.7mgに増量。
  • 17週目以降:維持用量2.4mgを週1回。胃腸症状が強ければ一時的に1.7mgに戻すなど調整します4
投与は最大68週間までです:日本人を対象とした臨床試験で68週間を超える使用経験がないため、ガイドラインでは投与期間を最大68週間としています。投与開始時から、68週までに薬をやめられるよう食事・運動療法を続ける計画を立てることが求められます1

日本人を含む試験で68週後の体重は平均13.4%減少しました

東アジアの肥満症・過体重の人401名(日本人を多く含む)を対象にした国内承認試験(STEP6に相当する4382試験)では、ウゴービ2.4mgを週1回68週間使った群で、体重がベースラインから平均13.4%減少しました。プラセボ(偽薬)群の減少は1.9%でした1,6。減量の達成割合は次のとおりです。

68週後の達成割合 ウゴービ2.4mg群(193例) プラセボ群(100例)
5%以上の体重減少 82.9% 21.0%
10%以上の体重減少 60.6% 5.0%
15%以上の体重減少 40.9% 3.0%

体重変化はゆっくり現れ、用量を段階的に上げながら数か月かけて進みます。ガイドラインでは、3〜4か月使っても変化の傾向が認められない場合は投与を中止することとされており、合わない人に漫然と続けない設計です1。なお減量の程度には個人差があります。

副作用は吐き気・便秘・下痢など胃腸症状が中心で多くは増量初期に出ます

同じ4382試験で、ウゴービ2.4mg群(199例)の54.3%に副作用が報告されました。内容は胃腸症状が大半で、増量していく時期に出やすく、体が慣れると軽くなる傾向があります1。主な副作用の発現割合は次のとおりです。

副作用 ウゴービ2.4mg群(199例) プラセボ群(101例)
便秘 24.1% 2.0%
悪心(吐き気) 15.6% 4.0%
下痢 13.1% 5.0%
嘔吐 7.5% 1.0%
食欲減退 6.5% 0%

この試験では死亡例はなく、副作用で投与を中止したのは2.4mg群199例中4例でした1。一方で、頻度は低いものの注意すべき重い副作用も知られています。

受診が必要な症状:嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛は急性膵炎の初期症状の可能性があり、使用を中止して速やかに受診します。このほか胆石症・胆嚢炎などの胆道系の病気、下痢・嘔吐による脱水と急性腎障害、低血糖(特に2型糖尿病で他の薬を併用している場合)にも注意が必要です1,4
使えない人(禁忌):本剤の成分に過敏症の既往がある人、糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡・1型糖尿病の人は使用できません。妊婦・妊娠の可能性がある人には投与せず、2か月以内に妊娠を予定する人は使用を中止します1,4
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ウゴービとオゼンピックは同じセマグルチドでも適応と最大用量が違います

「ウゴービとオゼンピックは何が違うのか」はよくある疑問です。両者は同じセマグルチドを含む注射薬ですが、対象とする病気・最大用量・製剤の形が異なります1,4,5。なお、リベルサスは同じ成分を飲み薬にしたもので、こちらも適応は2型糖尿病です。

項目 ウゴービ皮下注 オゼンピック皮下注 リベルサス
成分 セマグルチド セマグルチド セマグルチド
適応 肥満症 2型糖尿病 2型糖尿病
剤形 週1回注射(使い切り) 週1回注射(複数回用ペン) 1日1回の飲み薬
最大用量 2.4mg 1.0mg(2mg製剤あり) 14mg

オゼンピックは2型糖尿病の血糖管理を主目的とする薬で、維持用量は0.5mg、効果不十分なら1.0mgまで増量できます5。減量を主目的に肥満症で使う設計ではありません。ウゴービはこれより高い2.4mgまで増量し、肥満症の治療として体重を落とすことに焦点があります。

同じ成分の重複に注意:ウゴービはセマグルチドを含むため、オゼンピックやリベルサスなど他のセマグルチド製剤、その他のGLP-1受容体作動薬と併用してはいけません。処方前に重複がないか確認されます1

市販はなく個人輸入も避け、薬価をもとに自己負担を見積もります

ウゴービは医師の処方が必要な医療用医薬品で、薬局やネットで市販されていません。海外からの個人輸入は、偽造品や品質不明の製品をつかむおそれがあり、用量設定や副作用への対応を医師が管理できないため避けるべきです。日本肥満学会も、適応を満たす肥満症に対し医師の管理下で適正に使われることを前提としています7

公的医療保険上の薬価(2025年11月1日改定後、使い切りタイプのSD製剤、1キットあたり)は、0.25mgが1,764円、0.5mgが3,009円、1.0mgが5,557円、1.7mgが7,429円、維持用量の2.4mgが10,096円です3。週1回の注射なので、2.4mgを続ける場合の薬剤費は1か月あたり薬価ベースで約4万円となり、ここに自己負担割合(多くの人は3割)がかかります。実際の支払いには診察料や検査料も加わるため、総額は医療機関で確認してください。

ウゴービについてよくある質問

ウゴービはダイエット目的で打ってもらえますか。

いいえ。ウゴービは肥満症の治療薬で、適応条件を満たさない美容・痩身・ダイエット目的での使用は添付文書とガイドラインで認められていません。BMIや健康障害の条件を満たさない場合、保険診療では処方されません1

やめたらリバウンドしますか。

ウゴービは最大68週間で中止する前提の薬で、中止後は食事療法・運動療法による管理に移ります。中止後に肥満症が悪化した場合の再開には、改めて治療計画の作成など一定の手順が必要とされています。日頃から生活習慣の改善を並行することが重要です1

注射は自分で打てますか。

ウゴービは週1回の皮下注射で、医師の指導のもとで使用します。投与の継続可否は、毎月の体重・血糖・血圧・脂質の確認や、2か月に1回以上の管理栄養士による栄養指導を踏まえて判断されます1

効果はいつ頃わかりますか。

用量を段階的に上げながら数か月かけて体重が変化します。ガイドラインでは3〜4か月使っても改善傾向がなければ中止することとされており、合うかどうかは数か月の経過で評価されます。変化の程度には個人差があります1

参考文献

1 厚生労働省 最適使用推進ガイドライン セマグルチド(遺伝子組換え)(販売名:ウゴービ皮下注)令和5年11月(令和7年5月改訂) リンク
2 厚生労働省 保医発1121第2号(ウゴービ皮下注の保険適用上の留意事項) リンク
3 中央社会保険医療協議会 ウゴービの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(令和7年8月) リンク
4 PMDA 医療用医薬品情報 ウゴービ皮下注 添付文書 リンク
5 PMDA 医療用医薬品情報 オゼンピック皮下注 添付文書 リンク
6 Kadowaki T, et al. Semaglutide once a week in adults with overweight or obesity, with or without type 2 diabetes in an east Asian population (STEP 6). Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10:193-206. リンク
7 日本肥満学会 肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント(2023年11月25日) リンク

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