防風通聖散はお腹の脂肪に働く18生薬の漢方薬、効果と副作用を事実で確認
防風通聖散は、お腹まわりに皮下脂肪が多く便秘がちな人の肥満症・むくみ・便秘などに使われる、18種類の生薬からなる漢方薬です1。麻黄に含まれる成分が代謝を高め、大黄や芒硝が便通を促すことで、お腹の脂肪と便秘の両方に働きかけます。肥満女性を対象とした24週間の試験では、内臓脂肪の有意な減少が報告されています4。一方で、下痢・胃の不快感といった消化器症状が出やすく、まれに肝機能障害や偽アルドステロン症などの重い副作用も知られています1,2。この記事では、仕組み・効果の出方・副作用の中身・合わない人を、添付文書と臨床データに沿って整理します。
防風通聖散は18種類の生薬を組み合わせた、肥満症・便秘・むくみ向けの漢方薬です
防風通聖散は、滑石・黄芩・甘草・桔梗・石膏・白朮・大黄・荊芥・山梔子・芍薬・川芎・当帰・薄荷・防風・麻黄・連翹・生姜・芒硝の18種類の生薬で構成される漢方薬です1。医療用の添付文書では、効能・効果が「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」と定められています1。
つまり、単なるダイエットサプリではなく、「お腹に皮下脂肪が多く、かつ便秘がち」という体質の人に向けて設計された医薬品です。ツムラの医療用製品(62番)では、通常、成人1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用します1。
麻黄が代謝を高め、大黄と芒硝が便通を促すことでお腹の脂肪と便秘に働きます
防風通聖散がお腹に働く仕組みは、配合された生薬の役割を分けて見ると分かりやすくなります。
- 麻黄(まおう):エフェドリンという成分を含み、交感神経を刺激してエネルギー消費・熱産生を高める方向に働くと考えられています1。
- 大黄(だいおう):腸の粘膜を刺激してぜん動運動を活発にし、便を出やすくします1。
- 芒硝(ぼうしょう):腸内の水分を保って便をやわらかくし、排便を助けます1。
- 石膏・黄芩・山梔子など:体の余分な熱や炎症を冷ます方向に働く生薬で、のぼせやむくみといった随伴症状に対応します1。
このように、「代謝を上げる」「便を出す」「むくみ・のぼせを冷ます」という複数の方向から、お腹まわりの体質に働きかけるのが防風通聖散の特徴です。脂肪をその場で溶かす薬ではなく、食事・運動とあわせて体質に働く位置づけだと理解しておくと過度な期待を避けられます。
肥満女性の24週間試験で内臓脂肪と胴囲の減少が報告されています
効果のデータとしては、耐糖能異常のある肥満日本人女性を対象にした臨床研究があります。この研究では、防風通聖散を服用した群でプラセボ群と比べて内臓脂肪面積・胴囲の減少と、インスリン抵抗性の指標の改善がみられたと報告されています4。
また、防風通聖散の肥満者を対象とした複数の試験をまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシス(PLOS ONE, 2022)では、24週間の試験において、防風通聖散群でBMIの改善傾向が示されています3。ただし、この論文では各試験の規模が小さく質にばらつきがある点も指摘されており、「誰でも必ず大きく痩せる」と言える段階ではないことも事実として押さえておく必要があります3。
防風通聖散で最も多い副作用は下痢・胃の不快感などの消化器症状です
防風通聖散で日常的に起こりやすいのは、大黄・芒硝の便通を促す作用に由来する消化器症状です。添付文書では、その他の副作用として、発疹・発赤・かゆみなどの過敏症、食欲不振・胃部不快感・悪心・嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状、動悸・不眠・発汗などが記載されています1。
| 症状 | 由来・特徴 | 目安 |
|---|---|---|
| 下痢・腹痛・軟便 | 大黄・芒硝の瀉下作用が強く出た場合 | 比較的起こりやすい |
| 食欲不振・胃部不快感・吐き気 | 胃腸への刺激 | 起こりうる |
| 動悸・不眠・発汗 | 麻黄(エフェドリン)の交感神経刺激 | 体質により起こりうる |
| 発疹・かゆみ | 過敏症 | まれ |
下痢や腹痛が強い場合は、薬が体質に対して強すぎるサインのことがあります。量を自己判断で増やさず、症状が続くときは服用を中止して医師・薬剤師に相談してください。麻黄を含むため、もともと動悸しやすい人や不眠がちな人は、動悸・寝つきの悪さが出ていないかも確認しておくとよいです1。
まれですが肝機能障害・偽アルドステロン症・間質性肺炎などの重い副作用があります
頻度は低いものの、注意して見ておくべき重大な副作用が添付文書に記載されています1。いずれも「早く気づいて中止する」ことが大切です。
- 肝機能障害・黄疸:AST・ALT・γ-GTPなどの著しい上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあります1。だるさ・食欲不振・皮膚や白目が黄色くなる・尿が濃くなるなどが手がかりです。
- 偽アルドステロン症:甘草(グリチルリチン)の作用により、低カリウム血症・血圧上昇・むくみ・体重増加・手足のだるさや力の入りにくさが起こることがあります1,2。
- ミオパチー:偽アルドステロン症に伴って、低カリウム血症による脱力・筋肉痛・こわばりなどがあらわれることがあります1,2。
- 間質性肺炎:階段を上ったときの息切れ・空せき・発熱などが続く場合に疑われます1。
- 腸間膜静脈硬化症:長期に服用した場合に、腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などを繰り返す形であらわれることがあります1。
偽アルドステロン症は甘草、肝機能障害は服用中の体調変化が見分ける手がかりです
読者の関心が高い「肝機能」と「偽アルドステロン症」を、もう少し具体的に整理します。
偽アルドステロン症は、甘草に含まれるグリチルリチンの作用で体内のミネラルバランスが崩れ、カリウムが下がり血圧が上がる状態です2。厚生労働省の重篤副作用マニュアルでは、手足のしびれ・脱力・むくみ・血圧上昇・のどの渇きなどが初期症状として挙げられています2。甘草を含む他の漢方薬や、甘草成分(グリチルリチン)を含む薬を併用していると起こりやすくなるため、複数の漢方薬・市販薬を同時に飲んでいる人は重複に注意が必要です2。
肝機能障害は、防風通聖散に限らず漢方薬で時に報告される副作用です。服用を始めてから、強いだるさ・食欲不振・吐き気・黄疸(皮膚や白目が黄色い)などが出た場合は、肝臓のサインの可能性があります1。医療機関で処方される場合は、必要に応じて血液検査で肝機能やカリウム値を確認しながら使うことが想定されます。
麻黄・甘草・大黄を含むため、高血圧・心臓病・妊娠中などの人には向きません
防風通聖散は、含まれる生薬の性質から、向かない人がはっきりしている漢方薬です。添付文書でも、以下のような人は慎重投与・注意の対象とされています1。
| 向く可能性がある人 | 慎重・要相談の人 | 避けたほうがよい人 |
|---|---|---|
| お腹に皮下脂肪が多く便秘がち | 高齢者・胃腸が弱い | 妊娠中・授乳中の自己判断使用 |
| のぼせ・むくみを伴う | 高血圧・心臓病・甲状腺の病気 | 下痢しやすい・体力が低下している |
| 体力が中等度以上 | 他の漢方薬(甘草・麻黄含有)を併用中 | 麻黄・甘草で過去に不調が出た人 |
とくに麻黄は血圧や心拍に影響しうるため、高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症のある人は注意が必要です1。便秘改善の目的でも、もともと下痢しやすい人や胃腸が弱い人では下痢・腹痛が出やすくなります。妊娠中・授乳中の人は、大黄が子宮収縮や乳児への影響に関わる可能性があるため、自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください1。
飲み続ける場合は下痢への慣れと、長期特有の副作用への注意が必要です
「飲み続けるとどうなるか」は多くの人が気にする点です。便通や体調が落ち着いて継続する人もいますが、長期服用では次の点を意識しておく必要があります。
- 下痢・便のゆるさ:大黄・芒硝の作用で続くことがあり、量の調整が必要になる場合があります1。
- 腸間膜静脈硬化症:長期服用で報告される副作用で、腹痛・下痢・便秘などを繰り返す場合は受診が必要です1。
- 偽アルドステロン症:甘草を長く摂り続けることで起こりうるため、むくみ・血圧上昇・だるさが続いていないか確認します2。
そのため、漫然と長く飲み続けるのではなく、定期的に体調や(処方の場合は)検査値を確認しながら、続ける意味があるかを見直すことが大切です。痩せない・お腹の脂肪が変わらないと感じる場合は、量を増やすのではなく、食事・運動を含めた方針を医師と相談するのが現実的です。
自分の体質に合うか、いま飲んでいる薬と併用してよいか、肝機能やカリウム値の確認が必要かを判断するには、医師・薬剤師への相談が確実です。気になる症状や持病がある場合は、自己判断で始める前に一度相談してみてください。
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防風通聖散についてよくある質問
防風通聖散は市販で買えますか
はい。防風通聖散はドラッグストアなどで一般用医薬品として販売されている製品があります。ただし、医療用と一般用では含まれる生薬量(満量処方かどうか)が異なる製品があり、効能・効果や用量の表示も製品ごとに違います。持病や併用薬がある場合は、購入時に薬剤師に相談してください。
海外通販や個人輸入で安く買うのは問題ありますか
おすすめしません。個人輸入の製品は品質や成分量が国内の承認品と同じとは限らず、偽造品や成分不明のリスクがあります。防風通聖散は麻黄・甘草・大黄を含み、副作用の確認が前提の医薬品です。国内で承認された製品を、薬剤師の説明を受けたうえで使うほうが安全です。
どれくらいで効果が出ますか
便通の変化は比較的早く感じる人もいますが、内臓脂肪や体重への変化は数週間から数か月単位で見るものです。臨床研究でも24週間といった期間で評価されています3,4。短期間で大きく痩せる薬ではない点を理解しておいてください。
ほかの漢方薬やサプリと一緒に飲んでも大丈夫ですか
甘草や麻黄を含む漢方薬・市販薬と重ねると、偽アルドステロン症や動悸などのリスクが上がります。複数の薬・漢方・サプリを使っている場合は、成分の重複がないか医師・薬剤師に確認してください。
下痢をしたら飲むのをやめるべきですか
下痢や腹痛が強い、あるいは続く場合は、薬が体質に対して強すぎる可能性があります。自己判断で量を増やさず、いったん中止して医師・薬剤師に相談してください。
参考文献
1 ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)患者向医薬品ガイド/電子添文(効能・効果、用法・用量、組成、副作用) 医薬品医療機器総合機構(PMDA) リンク
2 重篤副作用疾患別対応マニュアル「偽アルドステロン症」 厚生労働省/医薬品医療機器総合機構(PMDA) リンク
3 Watanabe K, et al. Japanese traditional Kampo medicine bofutsushosan improves body mass index in participants with obesity: A systematic review and meta-analysis. PLOS ONE. 2022;17(4):e0266917. リンク
4 Hioki C, et al. Efficacy of bofu-tsusho-san, an oriental herbal medicine, in obese Japanese women with impaired glucose tolerance. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2004;31(9):614-619. PMID: 15479169 リンク