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サクセンダは毎日1回打つGLP-1注射、1年で平均8.0%減量し副作用の多くは吐き気

内海

サクセンダ(成分名リラグルチド)は、1日1回おなかや太ももなどに自分で皮下注射するGLP-1受容体作動薬です。臨床試験では56週間の使用で平均8.0%の体重が減り、もっとも多い副作用は吐き気でした1。週1回でよいセマグルチド製剤とは「毎日打つ」「減量幅がやや小さい」点で異なります2日本では肥満症治療薬として承認されておらず、自由診療で処方される薬です。この記事では、効果が出る仕組み・時期、副作用が「何が・どのくらい・いつ」起きるか、他のGLP-1との数値比較、正しい打ち方までを一次情報に基づいて整理します。

サクセンダはリラグルチドを成分とする1日1回注射のGLP-1受容体作動薬

サクセンダは、デンマークのノボ ノルディスク社が開発した肥満症治療薬で、成分名はリラグルチドです。GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という、もともと体内で食後に分泌されるホルモンに似せて作られた「GLP-1受容体作動薬」というグループに属します。ペン型の注射器で、1日1回、決まった時間帯に自分で皮下注射して使います1

同じリラグルチドでも、日本で2型糖尿病に承認されている「ビクトーザ」は最大1.8mgまでなのに対し、サクセンダは減量目的に最大3.0mgまで使う点が違います。なおサクセンダは日本では未承認で、医療機関が海外から個人輸入して自由診療で処方しています。

サクセンダが効くのは脳の食欲中枢に働いて食欲を抑え、胃の動きを遅らせるため

リラグルチドはGLP-1受容体に結合し、おもに次の働きで食事量を減らします5

  • 食欲を抑える:脳の視床下部にある食欲をコントロールする部位に働き、空腹感を弱め、満腹感を強めます。
  • 胃の動きをゆっくりにする:胃から腸へ食べ物が送られる速度(胃排出)を遅らせ、「お腹がいっぱい」という感覚が長く続きます。
  • 満腹ホルモンの調整:食欲に関わる消化管ホルモンの分泌に働きかけ、間接的に満腹のサインを後押しします。

結果として「自然と食べる量が減る」状態をつくる薬で、脂肪を直接燃やしたり吸収をブロックしたりする薬ではありません。生活習慣の見直しと組み合わせて使うことが前提です。

サクセンダの減量効果は56週で平均8.0%、5%以上痩せた人は約63%

糖尿病のない肥満・過体重の成人3,731人を対象にした臨床試験(SCALE試験)では、生活指導に加えてサクセンダ3.0mgを56週間(約1年)使った群と、生活指導のみ(プラセボ)の群を比較しました。体重変化は次のとおりです1

項目(56週時点) サクセンダ3.0mg プラセボ(生活指導のみ)
平均の体重変化率 -8.0% -2.6%
5%以上減量できた人の割合 63.2% 27.1%
10%超減量できた人の割合 33.1% 10.6%

つまり、生活指導だけの群と比べて差し引き約5.4ポイント多く体重が減った計算になります1。ただしこれは平均値であり、減り方には個人差があります。

サクセンダの変化を実感し始める目安は数週間、はっきり出るまでは数か月かかる

サクセンダは0.6mgから始めて毎週増やしていくため、開始直後は用量が少なく、体重の動きも緩やかです。一般に食欲が落ちる感覚は使い始めて数週間ほどで気づく人が多く、体重としてのまとまった変化は数か月単位でみていくものです。臨床試験の評価が56週(約1年)で行われていることからも、短期で判断せず継続して経過をみる薬といえます1

すぐ痩せる薬ではありません:サクセンダは食欲を抑えて食事量を減らす薬で、打てば自動的に脂肪が落ちるものではありません。食事・運動の見直しを併用しないと、期待した変化が出にくくなります。

サクセンダの副作用は約4割に出る吐き気が中心で、多くは増量初期の一時的なもの

SCALE試験で報告された主な副作用は、いずれも消化器症状です。発現率は次のとおりです1

副作用 サクセンダ3.0mg プラセボ
吐き気(悪心) 40.2% 14.7%
下痢 20.9% 9.3%
嘔吐 16.3% 4.1%
便秘 約12〜27% 低い

これらは増量していく初期に出やすく、体が慣れるにつれて軽くなっていくことが多い症状です13。吐き気がつらいときは、医師の判断で増量ペースをゆるめたり、用量を一段下げたりして対応します。一度に多く食べない、脂っこいものを控えるといった工夫も負担を減らします。

受診が必要なサイン:がまんできない強い腹痛が背中まで広がる、嘔吐が止まらない、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などがあれば、急性膵炎や胆のうの病気の可能性があります。自己判断で続けず、すぐに医療機関を受診してください。GLP-1受容体作動薬では、まれにこうした胆のう・膵臓の異常が報告されています4

サクセンダと週1回のセマグルチドの違いは、注射回数と減量幅にある

同じGLP-1グループでも、薬によって注射回数と減量幅が異なります。糖尿病のない肥満・過体重の人を対象に、毎日打つサクセンダ(リラグルチド3.0mg)と週1回のセマグルチド2.4mgを直接比べた試験(STEP 8)では、68週後の平均体重変化に差がありました2

項目 サクセンダ(リラグルチド3.0mg) セマグルチド2.4mg
注射の頻度 1日1回(毎日) 週1回
68週後の平均体重変化率 -6.4% -15.8%
主な副作用 吐き気など消化器症状 吐き気など消化器症状

この直接比較では、週1回のセマグルチドのほうが平均で約9.4ポイント大きく体重が減りました2。一方でサクセンダは1日1回と打つ回数は多いものの、毎日少量ずつ体に作用させる薬です。「注射回数の少なさ」を重視するか「減量幅」を重視するかは、医師と相談しながら選ぶことになります。なお薬ごとに体質との相性や副作用の出方が異なるため、数値だけで優劣を決めるものではありません。

サクセンダが向くのは食べすぎ型で生活改善と併用できる人、妊娠中などは使えない

添付情報や使用上の注意をふまえると、向き・不向きは次のように整理できます1

  • 向いている人:食欲が抑えられず食事量が多くなりがちで、食事・運動の見直しと並行して取り組める人。
  • 慎重な検討が必要な人:膵炎の既往がある人、胆のうの病気がある人、重い消化器症状を起こしやすい人。
  • 使えない人:妊娠中・授乳中の人、リラグルチドにアレルギーがある人、甲状腺髄様がんの既往や多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の家族歴がある人。
美容目的の安易な使用は避ける:サクセンダは肥満症の治療薬で、標準体重前後の人が見た目のために使う薬ではありません。適応や使用の可否は必ず医師の診察で判断してもらってください。

サクセンダの正しい打ち方は1日1回、おなか・太もも・上腕に少量から段階的に増やす

サクセンダはペン型注射器で、自分で皮下注射します。用量は副作用を抑えるため、低用量から週単位で段階的に増やすのが基本です1

  • 1週目:0.6mgを1日1回。
  • 2週目以降:1週ごとに0.6mgずつ増量(1.2→1.8→2.4→3.0mg)。
  • 維持量:原則3.0mgを1日1回。副作用の出方によっては医師の判断でこれより低い量にとどめることもあります。
  • 打つ部位:おなか、太もも、上腕の外側など。毎回少し場所をずらします。
  • 打つ時間:1日1回、毎日できるだけ同じ時間帯に。食事の時間とは無関係に打てます。

使い始めは針を付けて試し打ち(空打ち)で薬が出ることを確認します。具体的な手技は処方時に医師・看護師の指導を受け、自己流で増量しないでください。

サクセンダは市販されておらず、個人輸入は安全性が確認できないため避ける

サクセンダは医師の処方が必要な医薬品で、ドラッグストアなどで市販されていません。日本では肥満症の治療薬として承認されていないため、入手するには自由診療を行う医療機関を受診します。費用はクリニックや用量によって幅があり、公式に定まった価格はありません。

個人輸入は避けてください:インターネットの個人輸入では、品質や保管状態が確認できず、偽造品や成分量の不正確な製品が届くおそれがあります。GLP-1受容体作動薬は副作用の管理や打ち方の指導が欠かせない薬です。必ず医師の診察を受けて処方してもらいましょう。
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サクセンダのよくある質問

サクセンダを打てば運動や食事制限をしなくても痩せますか。

サクセンダは食欲を抑えて食事量を減らす薬で、それ自体が脂肪を燃やすわけではありません。臨床試験でも生活指導と併用して評価されており、食事・運動の見直しとあわせて使う薬です1

吐き気が出たらやめたほうがよいですか。

吐き気は増量初期に出やすく、多くは体が慣れるにつれて軽くなります。つらい場合は自己判断で中止せず、増量ペースの調整などを医師に相談してください。強い腹痛や止まらない嘔吐があるときはすぐ受診を1

サクセンダとオゼンピックやウゴービはどう違いますか。

サクセンダ(リラグルチド)は1日1回の注射、オゼンピックやウゴービ(セマグルチド)は週1回の注射です。直接比較した試験では、週1回のセマグルチドのほうが平均の減量幅が大きい結果でした2。どれが合うかは体質や副作用の出方を含め医師と相談して決めます。

やめたら体重は戻りますか。

GLP-1受容体作動薬は中止すると食欲が戻り、体重が再び増えることがあります。やめどきや継続の判断も医師と相談しながら進めてください。

参考文献

1 Pi-Sunyer X, et al. A Randomized, Controlled Trial of 3.0 mg of Liraglutide in Weight Management (SCALE Obesity and Prediabetes). N Engl J Med. 2015. リンク
2 Rubino DM, et al. Effect of Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Daily Liraglutide on Body Weight in Adults With Overweight or Obesity Without Diabetes: The STEP 8 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022. リンク
3 Clinical Review – Liraglutide (Saxenda). NCBI Bookshelf(CADTH). リンク
4 Saxenda (liraglutide) Prescribing Information / FDA label(胆のう・膵炎に関する警告). リンク
5 van Bloemendaal L, et al. GLP-1 receptors in the brain: controlling food intake and body weight. J Clin Invest. リンク

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