ニキビの市販薬は症状で選ぶ、白ニキビはサリチル酸・赤ニキビは抗炎症成分が基準
ニキビの市販薬に「すべての人に一番効く一本」は存在しません。市販薬は、ニキビの段階(白ニキビ・赤ニキビ・化膿したニキビ)に合った成分を選ぶことが基準になります。毛穴の詰まりが中心の白ニキビなら角質をやわらげるサリチル酸やイオウ、赤く炎症したニキビなら抗炎症成分(イブプロフェンピコノールやグリチルレチン酸)と殺菌成分を組み合わせた薬が向いています。一方、皮膚科で処方されるアダパレンや過酸化ベンゾイルは日本では市販されておらず5、繰り返すニキビや痕が残りそうなニキビは皮膚科という選択肢が現実的です。この記事では、市販薬の成分の役割、症状別の選び方、市販で足りないときの判断ラインを、添付文書とガイドラインの情報をもとに整理します。
市販のニキビ薬は「殺菌・抗炎症・角質ケア」の3タイプの成分でできている
ドラッグストアのニキビ薬は商品名こそ多彩ですが、配合されている有効成分は大きく3つの役割に分けられます。どの成分が入っているかを見れば、その薬が「どの段階のニキビ向けか」が分かります。
- 殺菌成分:イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、レゾルシンなど。ニキビの原因菌であるアクネ菌(アクネ桿菌)の増殖を抑えます。
- 抗炎症成分:イブプロフェンピコノール(IPPN)、グリチルレチン酸など。赤み・腫れ・痛みといった炎症をしずめます。
- 角質ケア成分:サリチル酸、イオウなど。毛穴をふさいでいる古い角質をやわらかくし、皮脂の詰まりを取り除きます。
ニキビは、毛穴に皮脂と角質が詰まる「白ニキビ」から始まり、そこでアクネ菌が増えて炎症を起こすと赤く腫れた「赤ニキビ」へ進みます。さらに膿がたまると「黄ニキビ」になります。つまり、初期は角質ケア、炎症が出たら殺菌と抗炎症、という具合に必要な成分が変わります。
白ニキビ・初期のニキビにはサリチル酸とイオウが向いている
赤みのない、ぽつっとした白い・小さなニキビ(白ニキビ・コメド)は、毛穴の詰まりが主な原因です。この段階では、詰まった角質をゆるめて皮脂を出やすくする角質ケア成分が中心になります。
- サリチル酸:角質をやわらかくして毛穴の詰まりをほぐす作用があります。洗顔料や化粧水、部分用ジェルに配合されることが多い成分です。
- イオウ:角質をやわらかくする作用に加え、余分な皮脂を吸着する作用があります。皮脂が多いTゾーンのニキビに使われます。
これらは「できてしまった炎症を強力に抑える」というより、「詰まりを取って悪化を防ぐ・予防する」性格の成分です。広い範囲に薄く出る白ニキビには、洗顔料タイプで肌全体をケアする使い方が合います。
赤ニキビには抗炎症成分と殺菌成分を組み合わせた薬が向いている
赤く腫れて痛みを伴うニキビ(赤ニキビ・炎症性のニキビ)は、毛穴の中でアクネ菌が増えて炎症が起きている状態です。この段階では、菌を抑える殺菌成分と、赤み・腫れを抑える抗炎症成分の両方が入った薬が向いています。
- イブプロフェンピコノール(IPPN):抗炎症成分です。アクネ菌が皮脂を分解して炎症のもとになる遊離脂肪酸をつくる過程に働きかけ、赤みや腫れをしずめます1。
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP):殺菌成分で、アクネ菌の増殖を抑えます1。
- グリチルレチン酸(グリチルリチン酸):抗炎症成分で、肌全体の赤みをやわらげる目的で配合されます。
市販薬では、これらを組み合わせたクリームやジェルが「赤ニキビ向け」として売られています。スポット(部分塗り)タイプが多く、気になる赤ニキビに直接のせて使います。
市販薬を症状別に整理すると選びやすい
どの成分タイプがどのニキビに向くかを表にまとめます。「◎=向いている/△=補助的/×=向かない」の目安です。
| 成分タイプ | 白ニキビ(初期) | 赤ニキビ(炎症) | 黄ニキビ(化膿) |
|---|---|---|---|
| 角質ケア(サリチル酸・イオウ) | ◎ 詰まりを取る | △ 補助的 | × 刺激になりうる |
| 抗炎症(IPPN・グリチルレチン酸) | △ 予防的 | ◎ 赤み腫れに | △ 受診も検討 |
| 殺菌(IPMP・レゾルシン) | △ | ◎ 菌の増殖を抑制 | △ 受診も検討 |
黄ニキビ(膿をもったニキビ)や、しこりのように硬くなったニキビは、市販薬だけでは対応しきれないことが多く、後述のとおり皮膚科の受診が選択肢になります。
市販薬の剤形は塗る範囲で選ぶ
同じような成分でも、薬の形(剤形)によって向く使い方が変わります。
- クリーム・ジェル:気になる1〜数個のニキビにピンポイントで塗るのに向きます。赤ニキビのスポットケア向け。
- 洗顔料・化粧水:顔全体に細かいニキビが散らばっているとき、肌全体をケアするのに向きます。予防にも。
- パッチ(ニキビパッチ):つぶれてしまったニキビを保護し、触るのを防ぐ目的で使います。有効成分が入らないタイプもあります。
市販で「効かない」と感じたら皮膚科の処方薬が選択肢になる
市販薬を2〜4週間ほど使っても変化がない、ニキビを繰り返す、痕(クレーターや色素沈着)が残りそう、という場合は、皮膚科で処方される外用薬が選択肢になります。代表的なのがアダパレンと過酸化ベンゾイル(BPO)で、どちらも日本では市販されておらず、医師の処方が必要です5。
- アダパレン:毛穴の詰まりのもとになる角化を抑える外用薬で、日本皮膚科学会のガイドラインで面皰(白ニキビ)から炎症性のニキビ、再発予防の維持療法まで推奨されています2。
- 過酸化ベンゾイル(BPO):アクネ菌を抑える作用と角質をはがす作用をあわせ持ち、抗菌薬と違って耐性菌が生じにくいため長期に使いやすいとされます2。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、炎症が強い時期にこれらやその配合剤・抗菌薬を組み合わせて早く炎症を抑え、落ち着いたらアダパレンや過酸化ベンゾイル中心の維持療法に移して再発と耐性菌を防ぐ、という流れが示されています2。市販薬とは作用の強さも位置づけも異なります。
処方薬は塗り始めに皮むけや乾燥が出やすい
アダパレンや過酸化ベンゾイルは市販の成分より作用が強い分、塗り始めに肌への刺激が出やすいことが知られています。臨床試験での副作用の出方は次のとおりです。
| 項目 | アダパレンゲル0.1% |
過酸化ベンゾイルゲル2.5% |
|---|---|---|
| 主な副作用 | 皮膚乾燥・皮むけ・刺激感 | 皮むけ・塗った部位の赤み |
| 皮膚乾燥の頻度 | 約37%3 | 比較的少ない |
| 皮むけの頻度 | 約18%3 | 約19%4 |
| 赤み(紅斑)の頻度 | 約8%3 | 約14%4 |
これらの刺激は塗り始めの時期に出やすく、続けるうちに落ち着いていく傾向があります。市販薬では物足りない一方で、こうした反応に医師の指導下で対処できるのが処方薬の特徴です。
ニキビ薬の個人輸入は避けたほうがよい
「海外のニキビ薬を個人輸入で安く買える」という情報がありますが、すすめられません。個人輸入の医薬品は、成分量や品質が公的に確認されておらず、偽造品や不純物が混入していた事例もあります。日本で承認されていない濃度・配合のこともあり、副作用が出ても国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外です6。市販薬はドラッグストアで、処方薬は皮膚科で入手するのが安全です。
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ニキビ市販薬のよくある質問
市販薬で一番効くのはどれですか。
すべての人に当てはまる一番はありません。白ニキビなら角質ケア成分(サリチル酸・イオウ)、赤ニキビなら抗炎症+殺菌成分(IPPN+IPMPなど)というように、ニキビの段階に合った成分を選ぶことが基準です。
市販薬はどのくらいで変化が出ますか。
軽い炎症ニキビなら数日〜数週間で赤みが落ち着くこともありますが、個人差があります。2〜4週間使っても変化がない、繰り返す場合は皮膚科の受診を検討してください。
過酸化ベンゾイルやアダパレンは市販で買えますか。
日本では市販されておらず、皮膚科などでの処方が必要です5。市販薬には、似た角質ケア作用を持つサリチル酸やイオウ、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールなどが配合されています。
市販薬と化粧品(薬用化粧水など)の違いは何ですか。
「第2類医薬品」などの市販薬は治療を目的に有効成分が一定量配合されたもの、「医薬部外品(薬用)」は予防・防止を目的としたものです。すでにできた炎症ニキビには医薬品、予防には薬用、という使い分けが一つの目安です。
背中やあごのニキビにも市販薬は使えますか。
顔以外に使える製品もありますが、製品ごとに使用できる部位が決まっています。広範囲・繰り返す体のニキビは別の原因(マラセチア毛包炎など)のこともあるため、改善しないときは皮膚科を受診してください。
参考文献
1 ペアアクネクリームW 添付文書(イブプロフェンピコノール・イソプロピルメチルフェノール)、PMDA 医薬品情報 リンク
2 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」 リンク
3 アダパレンゲル0.1% 添付文書(臨床試験成績・副作用)、PMDA 医薬品医療機器情報 リンク
4 ベピオゲル2.5%(過酸化ベンゾイル)添付文書、PMDA 医薬品医療機器情報 リンク
5 厚生労働省「スイッチOTC医薬品の候補成分の成分情報等シート(過酸化ベンゾイル)」 リンク
6 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」 リンク