ベピオゲルはニキビを2.5%で約7割減らす外用薬、刺激は最初の1か月がピーク
ベピオゲルは、過酸化ベンゾイル(BPO)を有効成分とする処方薬のニキビ外用ゲルで、アクネ菌を殺菌しつつ毛穴の詰まりをはがす2つの作用を1剤で持ちます。臨床試験では、2.5%製剤で炎症性のニキビが12週時に約68%、52週時に約75%減りました1。一方で皮膚がカサつく・赤くなる・ヒリヒリするといった刺激が出やすく、副作用は使い始めの1か月に集中して、その後は大きく減っていきます1。漂白作用があるため衣類や髪に付けない注意も必要です2。市販では買えず、医師の処方が前提の薬です。
ベピオゲルは過酸化ベンゾイルを主成分とする尋常性ざ瘡(ニキビ)の処方外用薬
ベピオゲルは、マルホ株式会社が販売する尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療薬で、有効成分は過酸化ベンゾイル(Benzoyl Peroxide、略してBPO)です2。濃度は2.5%で、ゲル状の外用薬として1日1回、洗顔後に患部へ塗って使います2。日本では2015年から処方されており、海外では数十年の使用実績がある成分です。
同じ過酸化ベンゾイルを配合した薬には、抗菌薬クリンダマイシンとの配合剤「デュアック配合ゲル」や、毛穴の詰まりに働くアダパレンとの配合剤「エピデュオゲル」もあります2。ベピオゲルは過酸化ベンゾイル単剤である点が特徴です。
ベピオゲルが効くのはアクネ菌の殺菌と角質をはがす2つの作用を併せ持つから
ニキビは、毛穴が詰まって皮脂がたまり、そこでアクネ菌が増えて炎症を起こすことで悪化します。ベピオゲルの過酸化ベンゾイルは、この流れに対して2方向から働きます2。
- 殺菌作用:過酸化ベンゾイルは強い酸化剤で、分解されると活性酸素(フリーラジカル)が生じます。これがアクネ菌などの細菌の膜やDNAを直接傷つけて、菌を減らします2。
- 角質をはがす作用(ピーリング):毛穴の出口にたまった古い角質をはがし、毛穴の詰まりをゆるめます。これにより、ニキビの元になる「面ぽう(コメド)」ができにくくなります2。
抗菌薬は菌に対して「薬が効かない耐性菌」が生まれることがありますが、過酸化ベンゾイルは化学的な酸化で菌を減らすしくみのため、耐性菌が生じにくいとされています2。抗菌薬と組み合わせたときに耐性菌の出現を抑える役割でも使われます。
効果は炎症性のニキビが2.5%で12週に約68%、52週に約75%減る
長期使用を調べた国内の第III相試験では、2.5%のベピオゲルを使った人で、炎症性のニキビ(赤く腫れたニキビ)の数が中央値で次のように減りました1。
| 時期 | 炎症性ニキビの減少率(2.5%) | 総ニキビ数の減少率(2.5%) |
|---|---|---|
| 12週時点 | 約68% | 約65% |
| 52週時点 | 約75% | 約75% |
使い続けるほど数値が伸びており、12週(約3か月)でしっかりした変化が、1年続けるとさらに減るという結果です1。海外の複数の試験をまとめた解析でも、過酸化ベンゾイルを使った群は総ニキビ数が平均44.3%減り、塗っていない群の27.8%より大きく減りました3。
副作用は皮むけ・赤み・ヒリつきが中心で、使った人の約4割に何らかの反応が出る
ベピオゲルは刺激系の副作用が出やすい薬です。国内の審査資料によると、2.5%製剤を使った204人のうち37.3%(76人)に副作用が報告され、内訳は次のとおりです4。
| 副作用 | 発現率 | どんな症状か |
|---|---|---|
| 皮膚剥脱(皮むけ・粉ふき) | 19.1% | 塗った部分がカサつき、皮がむける |
| 適用部位の紅斑(赤み) | 13.7% | 塗った部分が赤くなる |
| 適用部位の刺激感 | 8.3% | ヒリヒリ・ピリピリする |
| 適用部位のそう痒感(かゆみ) | 3.4% | かゆみが出る |
| 接触皮膚炎(かぶれ) | 2.5% | 赤み・かゆみを伴う炎症 |
これらの多くは乾燥・赤み・皮むけといった「使い始めの刺激」で、保湿剤を併用したり自然に治まったりすることが多いと報告されています1。
いつ出ていつ治まるかについては、長期試験で有害事象の46.7%が最初の1か月に集中し、3か月までに62%が出そろい、4か月以降に新しく出る反応はわずかでした1。つまり、刺激が一番つらいのは最初の数週間で、肌が慣れてくると落ち着いていく傾向です。
ベピオゲルには衣類や髪を白く脱色する漂白作用がある
過酸化ベンゾイルは漂白作用を持つため、ベピオゲルが髪・衣類・タオル・寝具などに付くと、その部分が色落ちして白くなることがあります2。これは肌の刺激とは別の、薬の性質上の注意点です。
正しい使い方は1日1回・洗顔後に薄く・顔全体へ予防的に塗ること
ベピオゲルは、できているニキビだけでなく、ニキビができやすい範囲全体に塗るのが基本です。角質をはがして毛穴の詰まりを防ぐ薬なので、まだニキビになっていない部分にも予防的に使います2。
- タイミング:1日1回、洗顔して肌の水気をしっかり拭き取ってから塗ります2。
- 量と範囲:気になるニキビだけでなく、ニキビの出やすいエリア全体に薄くのばします。塗りすぎると刺激が強くなります。
- 保湿:乾燥・皮むけが出やすいので、刺激を抑える目的で保湿剤の併用がすすめられます1。
- 慣らし方:刺激が強いと感じる場合、最初は1日おきや短時間で洗い流すなど、医師の指示で量や頻度を調整することがあります。
避けたほうがよい人もいます。過酸化ベンゾイルに過敏症のある人は使えません2。また敏感肌・アトピー性皮膚炎などで肌が弱い人、妊娠・授乳中の人は、使う前に必ず医師に相談してください。
ベピオゲルとアダパレンなど他のニキビ外用薬は働き方が違う
処方されるニキビ外用薬は、主に「菌に効くタイプ」と「毛穴の詰まりに効くタイプ」に分かれます。ベピオゲルは両方の性質を持つのが特徴です。
| 外用薬 | 主な働き | 耐性菌 | 刺激 |
|---|---|---|---|
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル) |
殺菌+角質はがし | 生じにくい | 皮むけ・赤みが出やすい |
ディフェリン(アダパレン) |
毛穴の詰まりを防ぐ | 関与しない | 乾燥・刺激が出やすい |
| 抗菌薬(クリンダマイシン等) | アクネ菌を抑える | 長期単独で生じうる | 比較的少ない |
エピデュオ(アダパレン+過酸化ベンゾイル) |
詰まり対策+殺菌 | 生じにくい | 刺激が出やすい |
過酸化ベンゾイルは抗菌薬と組み合わせると、抗菌薬の弱点である耐性菌の出現を抑えられるため、配合剤として一緒に使われることがあります2。どの薬が向くかはニキビの状態や肌質によるので、医師が選びます。
ベピオゲルは市販で買えず医師の処方が必要、個人輸入は避ける
ベピオゲルは医療用医薬品(処方薬)であり、ドラッグストアや薬局で市販品として買うことはできません。皮膚科などを受診し、医師の診断のもとで処方される薬です。
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ベピオゲルのよくある質問
ベピオゲルはどれくらいで効きますか。
すぐには効きません。長期試験では炎症性のニキビが12週(約3か月)で約68%減り、続けるほど数値が伸びました1。数週間から数か月単位で経過をみる薬です。
使い始めにニキビが増えたように見えるのはなぜですか。
使用初期に一時的な反応が出ることがあります。自己判断でやめず、つらい場合は処方した医師に相談してください。
皮むけや赤みが出たらやめたほうがいいですか。
軽い皮むけ・赤み・ヒリつきは使い始めに多く、最初の1か月をすぎると落ち着く傾向があります1。保湿剤の併用や使う頻度の調整で対応できることが多いので、まず医師に相談を。強い腫れや水ぶくれは中止して受診してください。
白いものが付いて色落ちしました。
過酸化ベンゾイルには漂白作用があり、衣類・髪・タオルなどを脱色することがあります2。塗った後は手を洗い、乾く前に布や髪へ触れないようにしてください。
市販で似た成分は買えますか。
過酸化ベンゾイルを配合した処方薬は市販されていません。ニキビが続く場合は皮膚科を受診してください。
参考文献
1 Hayashi N, et al. Open-label, randomized, multicenter, phase III study to evaluate the safety and efficacy of benzoyl peroxide gel in long-term use in patients with acne vulgaris: A secondary publication. J Dermatol. 2017.(炎症性病変の減少率・有害事象の発現時期)リンク
2 PMDA 医療用医薬品情報「ベピオゲル2.5%」電子添文(効能・用法・作用機序・漂白作用・使用上の注意)リンク
3 Sagransky M, et al. 関連系統的レビュー:randomized vehicle-controlled trials for efficacy of benzoyl peroxide topical therapy for acne. Arch Dermatol Res. 2015(総病変数の平均減少率44.3% vs 27.8%)リンク
4 PMDA 審査報告書(ベピオゲル2.5%、副作用発現率:皮膚剥脱19.1%・紅斑13.7%・刺激感8.3%ほか)リンク