ニキビ

背中ニキビの薬は「アクネ菌のニキビ」か「マラセチア毛包炎」かで変わります

内海

背中の赤いポツポツは、見た目が似ていても原因菌が2種類あり、効く薬が逆になります。毛穴に皮脂が詰まってアクネ菌(細菌)が増えた「ふつうのニキビ」なら、毛穴の詰まりをとる外用薬が中心です。一方、汗とともに増える「マラセチア」というカビ(真菌)が原因のマラセチア毛包炎は、ニキビ薬では治らず、抗真菌薬が必要になります。1 見た目だけで自己判断すると薬を取り違えやすいため、何週間も治らない背中のブツブツは皮膚科で原因菌を確かめるのが近道です。この記事では、原因の見分け方、市販薬と処方薬、体の洗い方、なかなか治らないときの対処を順番に整理します。

背中ニキビは「アクネ菌のニキビ」と「マラセチア毛包炎」の2タイプに分かれます

背中のブツブツの正体は、大きく分けて2つあります。ひとつは顔のニキビと同じ尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう=ふつうのニキビ)で、毛穴が皮脂や角質で詰まり、そこに皮脂を好むアクネ菌(Cutibacterium acnes、細菌)が増えて炎症を起こします。もうひとつがマラセチア毛包炎で、皮膚にもともといるマラセチアというカビ(真菌)が、汗や皮脂で増えて毛穴(毛包)に炎症を起こすものです。1,2

細菌とカビでは効く薬が違うため、まずどちらかを見分けることが薬選びの出発点になります。

見分けるポイント ふつうのニキビ(アクネ菌) マラセチア毛包炎(カビ)
原因 細菌(アクネ菌)と毛穴の詰まり 真菌(マラセチア)
ブツブツの大きさ 大小さまざま(数mm〜大きいもの) 2〜3mmで粒がそろう傾向
白いポツ(面皰) 混じることが多い 基本的にできない
かゆみ あまりない かゆいことがある
ニキビ薬の効き 効きやすい 効かない・悪化することも

マラセチア毛包炎は「同じくらいの大きさの赤い粒が、背中や胸の中央など汗をかきやすい場所に多発する」のが特徴とされます。1,3 ただし両方が混在することもあり、見た目だけの確定は難しいため、表はあくまで目安です。

市販のニキビ薬で治らない背中のブツブツは、カビ(マラセチア)が原因のことがあります

ニキビ薬を塗っても背中のブツブツがいっこうに引かない、むしろ広がる――という場合、原因がアクネ菌ではなくマラセチア(カビ)である可能性があります。マラセチア毛包炎は抗真菌薬でないと治らないため、アクネ菌向けのニキビ薬では変化が出にくく、保湿不足や刺激でかえって悪化することもあります。1,3

市販のニキビ薬で2〜4週間変化がないとき:原因菌が違う可能性があります。塗り続けて様子を見るより、一度皮膚科で「ニキビか、マラセチア毛包炎か」を確認したほうが回り道になりません。

ふつうの背中ニキビの処方薬は、毛穴の詰まりをとるアダパレンと過酸化ベンゾイルが中心です

アクネ菌が関わるふつうのニキビには、毛穴の詰まり(面皰)そのものをはがして出口を開く外用薬が基本になります。日本皮膚科学会の尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023では、アダパレン過酸化ベンゾイル(BPO)がいずれも推奨度A(行うよう強く推奨)に位置づけられています。4

  • アダパレン(ディフェリンゲルなど):毛穴の詰まりを作らせない外用薬。炎症ニキビにも、できる前の白ニキビにも使えます。
  • 過酸化ベンゾイル/BPO(ベピオゲルなど):軽く角質をはがし、アクネ菌を減らす作用があります。抗菌薬と違い、耐性菌ができにくいのが特長とされます。4
  • 抗菌薬(外用・内服):炎症が強いときに併用します。耐性化を避けるため、上の薬と組み合わせ、漫然と長期に使わないのが現在の考え方です。4

これらは医療用医薬品で、医師の診察を受けて処方されます。費用は保険診療なら3割負担で初診・薬代を合わせて数千円程度が目安ですが、診察内容で変わります。

塗り始めの刺激は「正常な反応」のことが多いです:過酸化ベンゾイル(ベピオゲル2.5%)では、臨床試験で皮膚剥脱(皮むけ)15.3%、紅斑(赤み)12.3%、皮膚刺激感11.4%が報告されています。5 アダパレンでも乾燥・ヒリヒリ・かゆみ・皮むけ・赤みが20人に1人以上で起こり、多くは使い始め2週間以内に出て1か月ほどで和らぎます。6 強い赤みや痛みが続くときは自己判断で増やさず受診してください。

マラセチア毛包炎の薬は抗真菌薬で、市販薬には適応のある薬がありません

マラセチア毛包炎はカビが原因なので、抗真菌薬で治療します。外用ではケトコナゾール(ニゾラールなど)などの抗真菌薬を1日1〜2回、数週間続けるのが基本で、範囲が広い・塗り薬で治りにくい場合はイトラコナゾールなどの内服を使うことがあります。1,3

市販薬で完全に代用はできません:マラセチア毛包炎に適応をもつ市販薬は、現状ありません。抗真菌薬は処方薬が中心で、自己判断で水虫用などの市販抗真菌薬を背中に使っても、診断と部位が合っていなければ改善は期待しにくく、診断も遅れます。3 ミコナゾール配合の薬用ボディソープなどは補助ケアにとどまり、治療薬ではありません。

背中ニキビは「こすらず洗う・しっかりすすぐ・保湿する」で再発を抑えられます

薬と並行して、皮脂・汗・洗い残しをためない習慣が、どちらのタイプでも再発予防につながります。背中は手が届きにくく、シャンプーやリンスのすすぎ残しがたまりやすい場所です。

  • 洗う順番:髪を先に洗い、最後に体を洗ってシャンプー成分を流しきります。
  • 洗い方:ナイロンタオルで強くこすらず、よく泡立てた石けんを手ややわらかい布でなでるように洗います。摩擦は炎症を悪化させます。
  • 汗の処理:運動後や就寝前など、汗をかいたらためずに洗い流すか拭き取ります。マラセチアは皮脂と汗で増えやすいためです。1
  • 保湿:洗ったあとは背中も保湿します。乾燥は角質を乱し、ニキビ薬の刺激も強めます。
  • 衣類・寝具:汗を吸う通気性のよい素材を選び、シーツや枕カバーをこまめに替えます。

セルフケアで2〜4週間変化がない背中ニキビは、皮膚科の受診が向いています

背中ニキビは、原因菌の見分けと薬の使い分けがそのまま結果を左右します。次のような場合は、市販薬を続けるより受診したほうが近道です。

  • 市販のニキビ薬で2〜4週間たっても変わらない:マラセチア毛包炎などニキビ以外の可能性があります。
  • 同じ大きさの赤い粒が広範囲・かゆみがある:マラセチア毛包炎が疑われます。
  • 痛みのあるしこりや膿、跡が残り始めている:炎症が強く、早めの治療が向きます。
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある:アダパレンは妊婦に使えない(禁忌)薬です。市販薬選びも含め医師に相談してください。6

自分のタイプと合う薬を早く見つけることが、跡を残さない一番の近道です。オンライン診療を含め、背中の状態を相談できる窓口を確認してみてください。

個人輸入の抗真菌薬・ニキビ薬は避けてください:海外通販や個人輸入の医薬品は、成分量や品質が保証されず、診断なしで使うと原因の取り違えや副作用のリスクがあります。アダパレンのように妊娠中に使えない薬もあり、自己判断は危険です。国内で医師の診察を受けて入手するのが安全です。
ニキビの治療薬は医師の診察を受けてから
アダパレンゲル 0.1%「YD」15g

アダパレンゲル 0.1%「YD」15g
毛穴のつまりを防ぎ、ニキビ(面ぽう)の形成を抑える塗り薬。

商品を見る →

ベピオゲル 2.5% 1本

ベピオゲル 2.5% 1本
抗菌&ピーリング作用で毛穴のつまりを改善するニキビ治療薬。

商品を見る →

アクアチム軟膏 1% 10g

アクアチム軟膏 1% 10g
アクネ菌の増殖を抑える抗菌成分配合のニキビ治療薬。

商品を見る →

ミライメディカルクリニック公式オンラインストア

背中ニキビの薬についてよくある質問

背中ニキビの市販薬でおすすめはありますか。

ふつうのニキビ(アクネ菌)であれば、抗炎症成分や殺菌成分を配合した市販のニキビ薬で軽いものは対応できることがあります。ただしマラセチア毛包炎には適応のある市販薬がなく、見分けが難しいため、2〜4週間で変化がなければ皮膚科で原因を確認するのが確実です。

ニキビ薬を塗ったらヒリヒリ・皮むけしました。やめるべきですか。

過酸化ベンゾイルやアダパレンでは、使い始めの皮むけ・赤み・刺激感はよくある反応で、多くは1か月ほどで和らぎます。5,6 量を控えめにし保湿を併用すると軽くなります。強い赤みや痛みが続く場合は使用を中止し受診してください。

水虫の市販薬を背中のブツブツに塗ってもいいですか。

自己判断はおすすめできません。マラセチア毛包炎と確定していない段階で抗真菌薬を使うと、診断が遅れたり原因が違ったりするおそれがあります。まず皮膚科でカビか細菌かを確認してください。

背中ニキビが何年も治りません。

長く治らない背中のブツブツは、薬と原因菌が合っていない(ニキビ薬を使い続けているが実はマラセチア毛包炎、など)ケースが少なくありません。一度、原因菌の確認を受けると方針が変わることがあります。

参考文献

1 持田ヘルスケア株式会社「背中ニキビ(身体ニキビ)の原因はカビ?マラセチア毛包炎の症状や治療方法について」 リンク
2 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(疾患概念・原因菌) リンク
3 日経メディカル「マラセチアには伸ばしやすいクリーム剤を」(外用抗真菌薬・治療の解説) リンク
4 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(アダパレン・過酸化ベンゾイルの推奨度A、耐性に関する記載) リンク
5 ベピオゲル2.5% 添付文書(副作用発現頻度:皮膚剥脱15.3%、紅斑12.3%、皮膚刺激感11.4%) PMDA医療用医薬品 情報検索
6 ディフェリンゲル0.1% 添付文書(乾燥・刺激感・掻痒・落屑・紅斑、発現時期と経過、妊婦への禁忌) PMDA医療用医薬品 情報検索

関連記事

記事URLをコピーしました