飲む日焼け止めは塗る日焼け止めの代わりにならない。補助として併用するのが正解
飲む日焼け止めは、肌の表面で紫外線を反射・吸収する塗る日焼け止めの代わりにはなりません。飲むタイプの主成分(シダ植物由来のPLエキス=ポリポディウム・ロイコトモス、ニコチンアミド、各種抗酸化ビタミンなど)は、紫外線が肌の内側で起こす活性酸素や炎症の連鎖をやわらげる「補助」の役割です。日焼けで赤くなりにくくなる程度の変化は臨床試験で報告されていますが12、その効果の大きさは塗るタイプのSPF値とは比べものになりません。米国FDAも「日焼け止めの代わりになる飲み薬はない」と明言しています3。結論として、飲む日焼け止めは塗る日焼け止めや日傘・帽子と併用する前提で考えるのが正しい使い方です。
飲む日焼け止めは紫外線を遮断せず、肌の内側で炎症と酸化をやわらげるサプリメント
飲む日焼け止めは、医薬品ではなく「健康食品」または「機能性表示食品」に分類されるサプリメントです。日本では「飲む日焼け止め」という表示自体が薬機法上グレーとされており、医薬品のような「紫外線を防ぐ」「日焼けしない」といった効能はうたえません4。
仕組みは塗るタイプと根本的に違います。塗る日焼け止めは肌の表面で紫外線そのものを反射・吸収して、肌に届く前にカットします。一方で飲むタイプは、紫外線を浴びたあとに肌の内側で発生する活性酸素・炎症・メラニン生成といった反応を、抗酸化作用などでやわらげる方向にはたらきます。入口でブロックするのが塗るタイプ、ダメージが出たあとの後始末を助けるのが飲むタイプ、というイメージです。
代表的な成分は次のとおりです。
- PLエキス(ポリポディウム・ロイコトモス):中南米原産のシダ植物の抽出物。抗酸化・抗炎症作用が研究されており、海外の飲む日焼け止めの中心成分です1。
- ニコチンアミド(ビタミンB3):紫外線で低下した細胞のエネルギーを補い、DNA修復を助ける方向にはたらくとされます。
- 抗酸化ビタミン(ビタミンC・E・カロテノイドなど):活性酸素を抑える補助成分として配合されます。
飲む日焼け止めの効果は「赤くなりにくくなる」程度で、SPF換算では塗るタイプにはるかに及ばない
飲む日焼け止めにまったく効果がないわけではありません。PLエキスを使った臨床試験では、日焼けで肌が赤くなり始める紫外線量(最小紅斑量=MED)の変化が報告されています。健康な成人を対象にPLエキスを1回240mg・1日2回・60日間続けた試験では、MEDが上がった人がPL群で多く(PL群8人 対 プラセボ群1人)、日焼けによる赤みの強さも下がる傾向が示されました1。別の8週間の無作為化比較試験では、PLエキスなどを配合したサプリでMEDが23.8%上昇し、紫外線による赤みが46.2%減ったと報告されています2。
ただし、ここで冷静になる必要があります。これらは「同じ紫外線量でも赤くなりにくくなった」という変化であって、塗る日焼け止めのSPF30〜50のように紫外線を桁違いにカットするものではありません。MEDが2〜3割増える、あるいは数値の上で2〜3倍程度に相当する変化があったとしても、SPFに換算すればせいぜい数倍(SPF2〜4相当)のレベルにとどまります。SPF50の塗る日焼け止めとは比較になりません。
飲む日焼け止めと塗る日焼け止めは役割が違うため、置き換えではなく併用する
両者は「どちらが優れているか」ではなく、守る場所が違う別物です。違いを整理します。
| 項目 | 塗る日焼け止め | 飲む日焼け止め |
|---|---|---|
| はたらく場所 | 肌の表面で紫外線を反射・吸収 | 肌の内側で炎症・酸化をやわらげる |
| 紫外線カット力 | SPF/PA値で明確(SPF50など) | SPF換算で数倍程度12 |
| 分類 | 医薬部外品・化粧品 | 健康食品・機能性表示食品4 |
| 塗り直し/飲み直し | 2〜3時間ごとに塗り直しが必要 | 飲むだけで全身に行きわたる |
| 目や頭皮など塗りにくい部位 | カバーしにくい | 体の内側から全身に作用 |
| 単独使用 | 基本これだけでも対策になる | 単独では不十分 |
表のとおり、塗るタイプは「カット力は高いが、塗り直しが必要で、目や頭皮はカバーしにくい」。飲むタイプは「カット力は弱いが、塗りムラや塗り直し漏れ・塗りにくい部位を内側から底上げできる」。弱点が逆なので、組み合わせると塗り直しの隙間を埋められるのが併用の意味です。
飲む日焼け止めが向くのは、塗るだけでは不安な人や塗り直しが難しい人
飲む日焼け止めは「これさえ飲めば安心」という商品ではありませんが、次のような人には上乗せの価値があります。
- 長時間の屋外活動が多い人:マリンスポーツ・ゴルフ・登山など、塗り直しが追いつかない場面の補助に。
- 塗りにくい部位が気になる人:頭皮・髪の生え際・目元・唇など、塗る日焼け止めがカバーしづらい部位の底上げに。
- 塗りムラ・塗り直し漏れが心配な人:塗る量が足りないと表示SPFは出ないため、その保険として。
逆に、次の人は慎重に考えてください。
飲む日焼け止めの副作用は重いものは報告が少ないが、サプリゆえの注意点はある
PLエキスの臨床試験では、2か月間の服用後も安全性の指標に変化はなく、重い有害事象の報告はありませんでした1。比較的安全性は高いと考えられますが、サプリメントである以上、次の点には注意が必要です。
- 胃腸の不快感:まれにお腹がゆるくなる、胃がもたれるなどの軽い消化器症状が出ることがあります。
- アレルギー:植物由来成分のため、体質によってはかゆみ・発疹などが出る可能性があります。
- 飲み合わせ:常用薬がある場合、成分によっては相互作用が起こる可能性があるため、自己判断で大量に飲まないでください。
長期的な安全性については大規模な追跡データがまだ十分でない成分もあるため、用量を守り、過剰摂取は避けてください。
飲む日焼け止めは通販・ドラッグストア・クリニックで入手でき、個人輸入は避けるべき
飲む日焼け止めは医薬品ではないため、ドラッグストアやネット通販、一部の美容クリニックなどで入手できます。価格の目安は製品により幅がありますが、月あたり数千円程度かかるイメージです。毎日続けてはじめて意味があるため、ランニングコストとして考える必要があります。
なお、米国FDAは「日焼け止めの代わりになる飲み薬・カプセルは存在しない」として、誇大広告をした複数の企業に警告を出しています3。日本でも、紫外線をカットできるかのように表示する健康食品は景品表示法・健康増進法に触れる可能性があるとして、消費者庁が注意を促しています4。「飲むだけで完全に日焼けを防ぐ」とうたう商品ほど警戒が必要です。
正しい日焼け対策の優先順位は、(1) 塗る日焼け止めをしっかり塗って2〜3時間ごとに塗り直す、(2) 日傘・帽子・サングラス・衣類で物理的に遮る、(3) その上で飲む日焼け止めを補助として加える、という順番です。土台を飛ばして飲むタイプから始めるのは順番が逆になります。
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飲む日焼け止めのよくある質問
飲む日焼け止めはどのくらい前に飲めばいいですか
製品によりますが、外出の30分〜2時間前に飲むよう案内されているものが多いです。効果は一時的なので、長時間の外出時は製品の指示に沿って追加で飲むタイプもあります。いずれにしても塗る日焼け止めの塗布とセットで考えてください。
飲む日焼け止めだけでシミは防げますか
飲むタイプだけでシミを確実に防げるという根拠は十分ではありません。シミ予防の基本は塗る日焼け止めと遮光で、飲むタイプはあくまで補助です。すでにあるシミの治療には、皮膚科での外用薬やレーザーなど別のアプローチが必要です。
毎日飲み続けないと意味がないですか
臨床試験では一定期間の継続服用で変化が確認されています12。たまに飲む程度では補助効果も期待しにくいため、続ける前提のコストとして考える必要があります。
子どもや妊娠中でも飲めますか
製品ごとに対象年齢や注意事項が異なります。妊娠中・授乳中・小児は安全性データが限られるため、自己判断で飲まず、必ず医師・薬剤師に相談してください。
参考文献
1 Kohli I, et al. Safety and Efficacy of Oral Polypodium leucotomos Extract in Healthy Adult Subjects. J Drugs Dermatol. 2015.(240mg×1日2回・60日、MEDの変化と安全性を報告) リンク
2 Effects of Eight-Week Supplementation Containing Red Orange and Polypodium leucotomos Extracts on UVB-Induced Skin Responses: A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial. Nutrients. 2025;17(7):1240.(MED +23.8%、紅斑 −46.2%) リンク
3 U.S. Food and Drug Administration. Sunscreen: How to Help Protect Your Skin from the Sun(飲む日焼け止めは塗る日焼け止めの代わりにならない旨の見解) リンク
4 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」 リンク