リベルサスは2型糖尿病薬で、食欲と胃の動きを抑えて体重が減りやすくなる経口GLP-1薬
リベルサス(一般名:セマグルチド)は、本来は2型糖尿病の治療薬で、食欲を抑え胃の動きをゆるやかにする働きから体重が減りやすくなる、世界初の飲むタイプのGLP-1受容体作動薬です1。注射が主流だったGLP-1薬を錠剤にした薬で、ダイエット目的での使用は承認された効能ではなく自由診療(適応外使用)にあたります。痩せる仕組み、効果の出方、いちばん多い副作用である吐き気、独特な飲み方のルールまで、添付文書と臨床試験の数値をもとに整理します。
リベルサスはセマグルチドを錠剤化した経口GLP-1受容体作動薬
リベルサスは、ヒトのGLP-1(食事をとると腸から出るホルモン)に似せて作られたセマグルチドという成分を、飲み薬にした医薬品です1。これまでGLP-1を使った薬は注射が中心でしたが、リベルサスは1日1回1錠を飲むだけで作用が続くよう製剤を工夫した、経口タイプのGLP-1受容体作動薬です。規格は3mg・7mg・14mgの3種類があります1。
承認されている効能・効果は2型糖尿病です1。血糖を下げる薬として開発されましたが、その作用の延長で食欲や食事量が減り、結果として体重が落ちやすくなることが知られています。
リベルサスは食欲を抑え胃の動きを遅らせることで食事量が減り体重が減りやすくなる
セマグルチドは、体内のGLP-1受容体に結合して、次のような働きをします1,2。
- 食欲を抑える:脳の食欲をつかさどる部分に作用し、空腹感を感じにくくします。
- 胃の動きをゆるやかにする:胃から食べ物が送り出される速度を遅らせ、満腹感が長く続きます。
- インスリン分泌を促す:血糖値が高いときだけ、膵臓からのインスリン分泌を促します。
- グルカゴンを抑える:血糖を上げるホルモン(グルカゴン)の分泌を抑えます。
このうち体重に関わるのは主に前半の2つです。「食欲が落ちる」と「満腹感が続く」が重なることで自然に食事量が減り、体重の減少につながります2。インスリン分泌を促す働きは「血糖値が高いとき」に限られるのが特徴で、これが単独使用で低血糖が起こりにくい理由のひとつとされています。
リベルサスの体重減少は14mgで最も大きく、用量に応じて差が出る
糖尿病患者を対象とした国際的な臨床試験(PIONEERプログラム)では、26週時点でのプラセボ(偽薬)と比べた体重減少の差は、用量が上がるほど大きくなりました3。あわせて血糖(HbA1c)の下げ幅も示します。
| 用量 | 体重減少(プラセボとの差・26週) | HbA1c低下(プラセボとの差・26週) |
|---|---|---|
| 3mg | −0.1kg | −0.6% |
| 7mg | −0.9kg | −0.9% |
| 14mg | −2.3kg | −1.1% |
この数字は2型糖尿病患者を対象にした試験のもので、体重そのものを主目的にした研究ではありません3。3mgは「飲み始めの慣らし用量」という位置づけで、体重への影響は小さく、効果を期待する量は7mg・14mgです。なお14mgでは77%の人が血糖の目標値(HbA1c 7%未満)に到達しています3。
リベルサスの効果が見えるまでは数週間から数か月かかる
リベルサスは飲んですぐ体重が落ちる薬ではありません。用法上、3mgで最低4週間飲んでから7mgへ、7mgでも不十分なら4週間以上あけて14mgへと段階的に増やします1。このため、十分な量に達するまでに最短でも2か月前後かかります。
- 1〜4週目(3mg):体を慣らす期間。体重への変化は出にくく、吐き気など消化器症状が出やすい時期。
- 5週目以降(7mg):食欲や食事量の変化を感じ始める人が出てくる時期。
- 数か月後(必要に応じ14mg):用量を上げて経過をみる時期。臨床試験の体重・血糖データは主に26週(約半年)時点のもの。
変化の感じ方には個人差があります。短期間で結果を求めて自己判断で増量するのは、副作用を強めるだけになりかねません。
リベルサスで最も多い副作用は吐き気で、多くは飲み始めの一時的なもの
添付文書では、5%以上にみられる副作用として悪心(吐き気)と下痢、1〜5%未満として便秘・嘔吐・食欲減退が挙げられています1。多くは消化器の症状です。
| 副作用 | 頻度(添付文書) | 傾向 |
|---|---|---|
| 悪心(吐き気) | 5%以上 | 飲み始め・増量時に出やすい |
| 下痢 | 5%以上 | 消化器症状 |
| 便秘 | 1〜5%未満 | 消化器症状 |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 | 消化器症状 |
| 食欲減退 | 1〜5%未満 | 作用と関連 |
吐き気について、海外の臨床試験では用量に応じておよそ11〜23%の人に報告されましたが、その多くは軽度〜中等度で、続けるうちに自然に軽くなっていく傾向が示されています3。出やすいのは飲み始めと、用量を上げた直後です。少量から段階的に増やすのは、この消化器症状をやわらげる目的もあります。
リベルサスは空腹時にコップ半分以下の水で飲み、その後30分は飲食を避ける必要がある
リベルサスは飲み方が独特で、守らないと有効成分がほとんど吸収されません。添付文書には次のように定められています1。
- タイミング:1日のうち最初の食事または飲水の前、空腹の状態で飲む(起床後すぐが目安)。
- 水の量:コップ約半分(約120mL以下)の水で飲む。
- 飲んだあと:服用後少なくとも30分は、飲食や他の薬の経口摂取を避ける。
- 飲み方:1回1錠を割ったり砕いたり噛んだりせず、そのまま飲む。
「空腹時・少量の水・30分は何も口にしない」がそろって初めて吸収されると考えてください。たっぷりの水で飲んだり、食後に飲んだり、すぐにコーヒーや朝食をとると、薬が効きにくくなります1。生活リズムにこの30分のルールを組み込めるかどうかが、続けられるかの分かれ目になります。
リベルサスは2型糖尿病の人に適応があり、痩身目的は医師の判断が必要
承認上の対象は2型糖尿病の患者です1。一方で次のような人には向きません。
- 向かない・使えない人:セマグルチドに過敏症のある人、糖尿病性ケアトーシスや重症感染症など緊急を要する状態の人、膵炎の既往がある人は慎重な判断が必要です1。
- 妊娠中・授乳中:妊娠中・妊娠の可能性がある人、授乳中の人は使用について医師に必ず相談してください1。
- BMIが標準以下の人:痩せている人がさらに減量目的で使うのは想定されていません。
体重減少を期待しての使用は適応外(自由診療)にあたり、適しているかどうかは医師が体質や持病を踏まえて判断します。
リベルサスは医師の処方が必要で市販では買えず、個人輸入は避けるべき
リベルサスは医療用医薬品で、ドラッグストアや薬局で市販されておらず、医師の診察と処方がなければ入手できません1。糖尿病治療として処方される場合は保険が適用されますが、ダイエット目的の場合は自由診療となり、費用は全額自己負担です。
価格は自由診療では医療機関ごとに設定が異なります。なお、ここで具体的な相場を断定的に示せる公的データはありません。費用は受診先で必ず確認してください。
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リベルサスについてよくある質問
リベルサスを飲めば運動や食事制限をしなくても痩せますか。
リベルサスは食欲や食事量を抑える働きを助ける薬であって、何をしても体重が減ることを保証するものではありません。臨床試験のデータも食事・運動を含む生活習慣のうえで得られたものです。バランスのよい食事と適度な運動を組み合わせることが基本になります。
飲み忘れたらどうすればよいですか。
気づいたときに2回分をまとめて飲むことはせず、その回は飛ばして翌日いつものタイミングで1回分を飲みます。空腹時・少量の水という条件を満たせない時間帯に気づいた場合は、無理に飲まず次の日に回すのが基本です。詳しくは処方医に確認してください。
吐き気がつらいときはどうすればよいですか。
吐き気の多くは飲み始めや増量時に出て、続けるうちに軽くなる傾向があります3。脂っこい食事や食べ過ぎを避けると楽になることがあります。我慢できないほど強い、長く続く、嘔吐がとまらない場合は自己判断で続けず、処方を受けた医療機関に相談してください。
注射のGLP-1薬とどちらがよいですか。
飲み薬(リベルサス)は注射が苦手な人に向きますが、空腹時・少量の水・服用後30分は飲食しないという飲み方を守る必要があります1。どちらが合うかは体質・生活リズム・治療目的によって異なるため、医師と相談して選ぶのが適切です。
参考文献
1 リベルサス錠3mg/7mg/14mg 添付文書・患者向医薬品ガイド(PMDA 医薬品医療機器総合機構) リンク
2 GLP-1受容体作動薬の作用機序(インスリン分泌促進・グルカゴン分泌抑制・胃排出遅延・食欲抑制)に関する添付文書記載 PMDA リンク
3 Aroda VR, et al. PIONEER 1: Randomized Clinical Trial of the Efficacy and Safety of Oral Semaglutide Monotherapy in Patients With Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2019;42(9):1724-1732. リンク
4 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(個人輸入に関する注意喚起)厚生労働省 リンク