ザガーロはデュタステリドのAGA薬。プロペシアとの違いと副作用
ザガーロは、AGA(男性型脱毛症)の引き金となるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑える内服薬で、抜け毛を減らし髪を太くする変化が報告されているAGA治療薬です。有効成分はデュタステリドで、フィナステリド(プロペシア)が抑えない5α還元酵素I型もブロックします。海外の比較試験では24週時点でフィナステリドより毛髪数が増えたと報告されていますが1、反応や変化の程度には個人差があります。一方、勃起不全やリビドー(性欲)減退といった性機能の副作用が約1割の人に出ることが添付文書に記載されています2。この記事では、効果と副作用の数値、いつ出ていつ戻るか、プロペシアやミノキシジルとの違い、価格と入手方法までを一次資料に沿って説明します。
ザガーロは5α還元酵素I型とII型の両方を抑える内服のAGA治療薬です
ザガーロは、グラクソ・スミスクライン社が製造する男性型脱毛症(AGA)の治療薬です。有効成分はデュタステリドで、剤形はカプセルです。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、デュタステリド内服はフィナステリド内服とともに、男性型脱毛症に対して推奨度A(行うよう強く勧める)に位置づけられています3。
カプセルには0.1mgと0.5mgの2規格があります。AGA治療で標準的に使うのは0.5mgで、ザガーロの用法・用量も1日1回0.5mgと定められています2。0.1mgは主に体格や状態に応じて医師が選ぶ補助的な位置づけで、自己判断で規格を選ぶものではありません。なお同じ有効成分のデュタステリドでも、前立腺肥大症に用いる薬(アボルブなど)は用途が異なる別の薬です。AGA目的とは処方の枠組みが違うため、前立腺肥大症の治療を受けている人が自己判断で兼用しないでください。
ザガーロは薄毛の引き金になるDHTの産生を減らして抜け毛を抑えます
AGAの主な引き金は、男性ホルモンのテストステロンが5α還元酵素という酵素で変換されてできるDHT(ジヒドロテストステロン)です。DHTが毛根の受容体に結びつくと、髪が太く長く育つ「成長期」が短くなり、十分に育つ前に抜けてしまう状態(ヘアサイクルの乱れ)が起こります。
5α還元酵素にはI型とII型の2種類があります。ザガーロのデュタステリドはこの両方を抑える点が特徴で、主にII型を抑えるフィナステリド(プロペシア)とはこの点が異なります2。酵素を止めてDHTの産生そのものを減らし、乱れたヘアサイクルを整えていく薬です。
ザガーロの効果判定には通常6か月かかり、変化は服用してすぐには出ません
髪は一定の周期で生え変わるため、変化はすぐには現れません。ザガーロの添付文書でも、効果を評価するには通常6か月間の治療が必要とされています2。海外の第III相試験(9か国・39施設、917例)では、デュタステリド0.5mgとフィナステリド1mgを比較し、24週時点の主要評価項目である頭皮の直径2.54cm(約1インチ)の円内の毛髪数で、デュタステリド群がフィナステリド群を上回ったと報告されています(毛髪数 P=0.003)1。これは集団の平均的な傾向で、個々の変化の程度は人によって異なります。
- 服用開始〜1か月ごろ:一時的に抜け毛が増えて見えることがあります(初期脱毛)。古い髪が新しい髪に押し出される切り替わりの過程とされます。
- 1〜2か月ごろ:初期脱毛は多くの場合この時期までに落ち着いていきます。
- 6か月:添付文書が示す効果判定の目安。継続するかどうかを医師と相談する時期です。
- それ以降:変化を維持するには服用の継続が前提です。やめるとDHTが再び増え、数か月かけて元の状態に近づいていくとされます。
ザガーロの主な副作用は勃起不全と性欲減退で、いずれも約1割。多くは中止後に戻るとされます
ザガーロの添付文書では、国内長期投与試験で総症例120例中20例(16.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められたと記載されています。主なものは次のとおりです2。
| 副作用 | 発現率(国内長期投与試験・120例) | 性質 |
|---|---|---|
| 勃起不全(ED) | 13例(10.8%) | 性機能関連 |
| リビドー減退(性欲低下) | 10例(8.3%) | 性機能関連 |
| 射精障害 | 5例(4.2%) | 性機能関連 |
上の発現率は国内長期投与試験(120例)の数字です。同じ添付文書には、別の国際共同試験の日本人120例ではリビドー減退5.8%、勃起不全5.0%、射精障害1.7%と、より低い割合のデータも併記されています2。試験ごとに対象や期間が異なるため割合に幅がありますが、性機能の副作用が一定の割合で起こりうる点は共通しています。
いつ出るかについては、性機能に関する副作用は服用開始から数週間以内に自覚されることが多いとされます。中止した場合、これらの副作用は一般に服用をやめると軽快・回復するとされ、回復までの期間や戻り方には個人差があります2。ただし、まれに中止後も性機能の不調が続いたとする報告もあります。気になる症状が中止後も続く場合は、自己判断せず医師に相談してください。
ザガーロとプロペシア(フィナステリド)は抑える酵素の型が異なります
同じ5α還元酵素阻害薬でも、抑える酵素の型が違います。両者を整理すると次のとおりです。
| 項目 | ザガーロ(デュタステリド0.5mg) |
プロペシア(フィナステリド1mg) |
|---|---|---|
| 抑える酵素 | I型+II型の両方2 | 主にII型2 |
| 24週時の毛髪数(試験での比較) | 海外試験でフィナステリド群を上回ったとの報告(P=0.003)1 | デュタステリド群より低かった1 |
| ガイドライン推奨度(男性) | A3 | A3 |
| 性機能の副作用 | 勃起不全10.8%等2 | 同系統の副作用あり |
毛髪数という1つの指標では上の試験でデュタステリドの数値が高く出ていますが、これは特定の試験の結果で、どちらが適しているかは体質・既往・反応の出方によって変わります。両方とも推奨度Aで、まずフィナステリドを使い十分な変化があればそれで続ける人もいれば、フィナステリドで十分な変化を感じなかった人がデュタステリドを検討する場合もあります。進行が早い、範囲が広いといったケースでデュタステリドが選ばれることもありますが、選択は医師が診断します。
ザガーロと併用されることが多いのがミノキシジルで、働く仕組みが違います
ザガーロ(デュタステリド)は抜け毛の原因であるDHTを減らす「守りの薬」です。これに対してミノキシジルは毛根に働きかけて発毛を促す「攻めの薬」で、働く仕組みが異なります。ガイドラインではミノキシジル外用も男性で推奨度Aです3。仕組みが違うため、DHTを抑えるデュタステリドと発毛を促すミノキシジルを組み合わせる治療が行われることがあります。ミノキシジルには塗る「外用」と飲む「内服」があり、内服ミノキシジルはAGA治療薬として国内承認されておらず、動悸やむくみなどの副作用に注意が必要です。併用するかどうか、どの形を使うかは医師の判断によります。
ザガーロが向くのはAGAの成人男性で、女性・未成年・妊娠の可能性がある人は服用できません
ザガーロはAGA(男性型脱毛症)の成人男性を対象とした薬です。フィナステリドで十分な変化を感じなかった人、薄毛の進行が早い人や範囲が広い人が検討する選択肢の一つですが、まずフィナステリドで様子を見る方針が選ばれることもあります。次に該当する人は服用できません2。
- 女性:投与禁忌です。特に妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳中の女性は、男子胎児の生殖器の発達に影響する可能性があるため使用できません。
- 小児・未成年:適応がありません。
- 過敏症の既往:本剤の成分や他の5α還元酵素阻害薬にアレルギーがある人。
- 重度の肝機能障害がある人:主に肝臓で代謝されるため使用できません。
女性の薄毛(FAGA)にはデュタステリドやフィナステリドは推奨されていません(女性では推奨度D)。女性の薄毛に対しては外用ミノキシジルがガイドラインで推奨度Aとされており3、女性は皮膚科などで自分に合う治療を相談してください。
ザガーロは医療機関でのみ入手でき、市販や個人輸入は避けるべきです
ザガーロおよびデュタステリドは医師の処方が必要な医療用医薬品で、ドラッグストアなどでの市販の取り扱いはありません。入手するには、皮膚科やAGAを扱うクリニックで診察を受けて処方してもらいます。オンライン診療に対応するクリニックもあります。
AGA治療は美容目的の自由診療にあたり公的医療保険は使えません。費用は医療機関ごとに異なります。目安として、先発品のザガーロ0.5mgは月9,000〜13,000円くらい、同じ成分のジェネリック(デュタステリド0.5mg)はおおむね月3,000〜5,000円くらいかかるイメージです。ジェネリックは先発品と同じ有効成分・同じ量を含み、中身は基本的に同等とされます。0.1mgと0.5mgで価格が異なる場合もあります。オンライン診療では、薬の費用に加えて診察料や送料がかかることがあり、総額で比べるのが現実的です。※詳細は公式サイトをご覧ください。
ミライメディカルクリニック公式オンラインストア
ザガーロのよくある質問
ザガーロをやめると元に戻りますか。
中止するとDHTが再び増え、数か月かけてAGAが進行し元の状態に近づいていくとされます。変化を維持するには継続が前提です。減らし方や中止の判断は医師に相談してください。
飲み始めに抜け毛が増えたのですが大丈夫ですか。
服用開始から1か月ごろに一時的に抜け毛が増えて見えることがあり、多くは1〜2か月で落ち着くとされます。量が多い、長く続くなど不安がある場合は医師に相談してください。
性機能の副作用はやめれば戻りますか。
勃起不全や性欲減退は一般に中止すると軽快・回復するとされますが、回復までの期間には個人差があります。まれに中止後も続いたとの報告もあるため、続く場合は医師に相談してください。
ミノキシジルと一緒に使えますか。
デュタステリドはDHTを抑える薬、ミノキシジルは発毛を促す薬で仕組みが異なり、組み合わせて使われることがあります。併用の可否は医師が判断します。
フィナステリドから切り替えられますか。
フィナステリドで十分な変化を感じなかった場合に、I型・II型の両方を抑えるデュタステリドへ切り替える選択肢があります。切り替えの可否やタイミングは医師が判断します。
参考文献
1 Olsen EA, et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 2006;55(6):1014-1023. リンク
2 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(医薬品医療機器総合機構 PMDA)。リンク
3 日本皮膚科学会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. リンク
プロペシア(フィナステリド1mg)