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ミノキシジルの初期脱毛は1〜2か月がピーク。なぜ起こり、いつ収まるか

内海

ミノキシジル外用剤の初期脱毛は、使用を始めて1〜2か月ごろに抜け毛が一時的に増え、多くの場合は2〜3か月で自然に落ち着く一過性の抜け毛です1。これは薬が効かなくなったサインではなく、休止期にとどまっていた古い毛が、新しく動き出した毛に押し出されて抜ける、毛周期が切り替わる過程で起こります3。この記事では、初期脱毛がいつ起きて何が起きているのか、副作用そのものはいつ出ていつ治まるのか、他の薬との数値の違い、誰に向いて誰が避けるべきか、市販品の価格と入手方法までを、PMDAに公開された添付文書と日本皮膚科学会のガイドライン・論文をもとに整理して書きます。なお外用ミノキシジルは男性用が濃度5%、女性用が濃度1%で別製品です12

ミノキシジルの初期脱毛は、休止期の古い毛が新しい毛に押し出される「毛周期の正常化」のサインです

髪には成長期・退行期・休止期という毛周期(ヘアサイクル)があります。頭髪の成長期はおおむね2〜6年、退行期は数週間、休止期は約3か月続き、休止期を終えた毛は抜け落ちて次の毛に入れ替わります3。健康な頭皮では、髪の大半が成長期にあります3

ミノキシジルは、休止期にとどまっていた毛包を刺激して、本来より早く成長期へ移行させる働きを持つと考えられています3。この「休止期からの早期離脱」が起こると、抜ける予定だった古い毛が短期間にまとめて押し出されるため、使用開始の直後に一時的に抜け毛が増えて見えます。これが初期脱毛で、止まっていた毛周期が動き出した結果として生じる反応です3

作用のしくみとしては、ミノキシジルが頭皮の酵素(硫酸転移酵素)によって活性型のミノキシジル硫酸塩に変わり、毛包周囲の血流を促し、毛の成長に関わる細胞の経路に働きかけると報告されています3

初期脱毛の「抜け毛の山」は1〜2か月、「発毛の立ち上がり」は4か月ごろと、時間軸が異なります

初期脱毛で増える抜け毛と、新しい毛が生えてくる変化は、別の時間軸で進みます。読者が混乱しやすいので、「抜け毛の山」と「発毛の立ち上がり」を分けて並べます。

抜け毛の山(初期脱毛)

  • 開始〜2週:変化を感じないことが多い時期です。
  • 1〜2か月:抜け毛が増えやすい時期です。シャンプーや枕に付く毛が普段より多いと感じやすくなります1
  • 2〜3か月:多くの場合、増えた抜け毛が落ち着いてきます1

発毛の立ち上がり(変化の判定)

  • 4か月(男性用5%):男性用リアップX5プラスネオは、効果がわかるまで少なくとも4か月、毎日の使用を続けるよう案内されています1
  • 6か月(女性用1%):女性用リアップリジェンヌは、有効性が6か月使用後に認められており、判定の目安は6か月です2。6か月使っても変化がない場合は別の原因による脱毛症の可能性があるため、医師または薬剤師に相談してください2

抜ける量には個人差があります。ごく軽い人もいれば、洗髪時にまとまって抜けて不安になる人もいます。初期脱毛で抜けるのは、もともと休止期で抜ける順番だった毛が中心で、回復の過程ではそれが新しい毛に置き換わっていきます3。なお初期脱毛が起きた人だけに変化が出る、起きなかった人には変化が出ない、という関係は確立していません。初期脱毛の有無で変化の出方を判断する必要はありません1

受診の目安:抜け毛が3〜4か月を超えても増え続ける、地肌が広範囲に目立つほど大量に抜ける、円形にごっそり抜ける、強いかゆみ・湿疹・痛みを伴う場合は、初期脱毛以外の原因(後述する他の脱毛症や頭皮トラブル)の可能性があります。自己判断で続けず、皮膚科や医師に相談してください。

ミノキシジル外用の副作用は塗った頭皮のかゆみ・発赤・かぶれが中心で、多くは中止すると数日〜数週間で治まります

初期脱毛は「抜け毛が増える反応」であって、いわゆる副作用とは区別されます。外用ミノキシジルで報告されている主な副作用は、塗った部位の頭皮症状です1

  • 頭皮のかゆみ・発赤・発疹・かぶれ・ふけ:塗布部位に出る代表的な症状です。使い始めの数週間に出やすく、刺激によるものは塗布をやめると数日〜数週間で落ち着くことが多い症状です1。赤みやかゆみが強い、広がる、繰り返す場合は使用を中止して薬剤師か医師に相談してください1
  • 頭痛・気が遠くなる・むくみなど:頻度は高くないものの、添付文書に記載のある症状です。現れた場合は使用を中止し、相談してください1

初期脱毛(抜け毛が増える)と、頭皮のかゆみ・かぶれ(炎症の副作用)は見分けが大切です。抜け毛だけが増えていて頭皮に赤みや強いかゆみがなければ毛周期の切り替わりと考えやすく、塗った場所が赤くかゆい・かぶれているなら副作用側を疑い、症状が続くなら中止して相談する、という切り分けになります1

内服ミノキシジルの動悸・むくみ・体毛増加は全身性で、外用とはリスクの種類が異なります

初期脱毛は内服・外用のどちらでも起こり得ますが、副作用の出方は剤形で大きく異なります。塗り薬は塗った部位の頭皮症状が中心で、飲み薬はもともと血圧を下げる薬であるため全身性の症状が報告されています3。下の表は数値で扱える濃度・用量・判定期間と、副作用の種類を整理したものです。

項目 外用ミノキシジル(塗り薬) 内服ミノキシジル(飲み薬)
国内での位置づけ OTC(第1類医薬品)として入手可1 発毛目的では国内未承認3
濃度・用量 男性用5%/女性用1%、1回1mLを1日2回12 国内承認なし(高血圧治療薬としての用量のみ)3
変化の判定期間 男性用4か月/女性用6か月12 国内基準なし
主な副作用 塗布部のかゆみ・発赤・かぶれ・ふけ1 動悸・むくみ・体毛増加・血圧低下など全身症状3
初期脱毛 起こり得る3 起こり得る3

濃度については、男性用が5%、女性用が1%です。女性は男性用の5%製品を使うことはできず、女性用の1%製品を使います12。なお国内で承認されているのは5%が上限で、海外品にみられる15%などの高濃度品は品質性が確認されておらず推奨されていません4

内服ミノキシジルについて:内服ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬で、発毛目的では日本国内で承認されていません3。動悸・むくみ・血圧低下などの全身性の副作用が起こり得るため、使用する場合は必ず医師の管理下で行ってください。これらの全身症状は服用を中止すると次第に軽快しますが、判断は自己責任にせず医師に相談してください3

初期脱毛そのものに特別な処置は不要で、用法を守って継続するのが基本です

初期脱毛は毛周期が切り替わる一過性の反応のため、抜け毛を止めるための特別な処置は基本的に必要ありません3。次の点を守ってください。

  • 用法・用量を守る:外用は1回1mLを1日2回までです。多く塗っても変化が高まるわけではなく、副作用のリスクが上がる可能性があります1
  • 毎日継続する:変化の判定は男性用で4か月、女性用で6か月が目安です。抜け毛が増えた時期だけを見て中断しないでください12
  • 頭皮を清潔に保つ:抜けた毛が気になっても、過度にこすらず通常どおり洗髪します。
  • 記録を残す:同じ条件で頭部の写真を月1回撮ると、抜け毛が増えた時期の前後の変化を確認できます。

ミノキシジル外用は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」で、行うよう強く勧める推奨度Aに位置づけられています。ただし推奨される濃度は性別で異なり、男性は5%、女性は1%が対象です4。変化の判定には数か月の継続が前提となるため、開始初期の抜け毛だけで評価を下すのは早すぎます。中断するより先に、まず医師へ相談してください。

ミノキシジル外用は壮年性脱毛症の人向けで、女性・20歳未満・妊娠授乳中・心疾患のある人などは使えません

外用ミノキシジルには、使ってよい人と使ってはいけない人がはっきり決まっています。市販の添付文書をもとに整理します。

  • 向いている人:壮年性脱毛症(いわゆるAGA・FAGA)で、頭頂部や前頭部の毛が細く弱くなり薄毛が進んでいる人です。男性は5%製品、女性は1%製品を使います12
  • 男性用5%を使えない人:女性、20歳未満の人は使用できません。女性は女性用の1%製品を使います1
  • 女性用1%を使えない人:男性、20歳未満の人、妊娠中・妊娠していると思われる人、授乳中の人は使用できません。ミノキシジルは母乳へ移行することが理由です2
  • 男女とも避けるべき人:高血圧・低血圧で治療中の人、心臓・腎臓に病気のある人、むくみのある人などは、使う前に必ず医師・薬剤師に相談してください1
  • そもそも適応外の人:円形脱毛症や、出産後・病後の一時的な抜け毛(休止期脱毛)など、壮年性脱毛症以外の脱毛にはミノキシジル外用の適応はありません。原因が違うため、自己判断で使わず受診してください2

初期脱毛そのものに耐えられない、抜け毛が増える時期が不安、という人もいます。その場合は、初期に抜け毛が増えにくいタイプの治療(フィナステリドやデュタステリドなどの内服)から始める選択もあります。これらも前述のガイドラインで推奨度Aに位置づけられた治療で、どれが向くかは頭皮の状態や生活によって変わるため、医師に相談したうえで選ぶのが安全です4

市販で入手できるのは外用のみで、男性用5%は60mLでおおむね数千円、女性用1%も同程度が目安です

日本でドラッグストアなどから入手できるのは外用(塗り薬)のミノキシジルです。第1類医薬品にあたるため、薬剤師の説明を受けてから入手します1。内服のミノキシジルは発毛目的で承認されておらず、市販されていません3

  • 男性用5%(例:リアップX5プラスネオ60mL):1回1mL・1日2回で使うと、60mLはおおむね1か月分です。市販価格は店舗や時期で変わりますが、1本あたり数千円台が目安です1
  • 女性用1%(例:リアップリジェンヌ60mL):同じく1回1mL・1日2回で約1か月分、価格帯も数千円台が目安です2

内服を扱うのはAGA・薄毛のクリニックで、診察のうえ自由診療として処方されます。費用は医療機関・内容によって幅があり、オンライン診療を行うところもあります。初診料・送料の有無を含め、料金は各医療機関で異なるため、入手の前に確認してください。

個人輸入より診察を受けて入手するほうが安全です:海外製のミノキシジル内服薬などを個人輸入で入手すると、成分量や品質が確認できず、健康被害が出ても国の救済制度の対象外になります。医師の診察を受けて入手すれば、心臓・血圧などの持病や使ってよい人かどうかを確認したうえで、副作用が出たときも相談先が確保できます3
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よくある質問

初期脱毛が来ないと、効いていないということですか。

そうとは限りません。初期脱毛はまったく気づかない人もいれば、抜け毛がはっきり増える人もいます。初期脱毛の有無で変化の出方を判断する根拠は確立しておらず、来なくても効いていないという意味にはなりません。判定は男性用で4か月、女性用で6か月続けてからにしてください12

初期脱毛を軽くする方法はありますか。

抜け毛そのものを止める処置は基本的にありません。用法・用量(1回1mL・1日2回)を守り、塗る量を増やさず、頭皮を清潔に保って継続するのが基本です。多く塗っても変化が高まるわけではなく、副作用のリスクが上がる可能性があります1

いったん使うのをやめて再開したら、また初期脱毛は起こりますか。

中断して毛周期が再び停滞した後に再開すると、休止期の毛が押し出される過程が再び起こり、初期脱毛が現れることがあります。仕組みは最初の開始時と同じです3

他の薄毛治療薬に切り替えたら、初期脱毛は繰り返しますか。

毛周期に作用する治療では、切り替え時に同様の一時的な抜け毛が起こることがあります。切り替えや併用の判断は、頭皮の状態によって変わるため自己判断せず、医師に相談して決めてください4

どれくらい抜けたら異常ですか。

明確な本数の基準はありません。ただし3〜4か月を超えても抜け毛が増え続ける、地肌が広範囲に目立つ、円形に抜ける、強いかゆみや痛みを伴う場合は、別の原因を考えて受診してください2

参考文献

1 リアップX5プラスネオ(ミノキシジル5%・男性用、第1類医薬品)添付文書情報、PMDA(医薬品医療機器総合機構). リンク
2 リアップリジェンヌ(ミノキシジル1%・女性用、第1類医薬品)添付文書情報、KEGG MEDICUS 一般用医薬品. リンク
3 Patel P, Nessel TA, Kumar DD. Minoxidil. StatPearls, NCBI Bookshelf. リンク
4 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(日本皮膚科学会雑誌 127巻13号). リンク

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