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ミノタブ(ミノキシジル内服)は国内で発毛薬として未承認、心血管系の副作用リスクがあり外用が基本

内海

ミノタブとはミノキシジルの内服薬(タブレット)の通称で、塗り薬と違って全身に作用するぶん発毛の実感を得やすいとされますが、日本では発毛薬として承認されておらず、もともと血圧を下げる薬であるため動悸・むくみといった心血管系の副作用が起こりえます。日本皮膚科学会のガイドラインは内服を推奨度D(行うべきではない)とし、塗るタイプのミノキシジル外用(推奨度A)を基本に位置づけています1。この記事では、ミノタブの作用のしくみ、効果と副作用の数字、外用との違い、個人輸入を避けるべき理由までを一次情報にもとづいて整理します。

ミノタブはミノキシジルの内服薬で、日本では高血圧にも薄毛にも承認されていない

ミノタブは「ミノキシジルタブレット」を略した呼び名で、医療用医薬品のミノキシジルを錠剤として飲むものを指します。ミノキシジルはもともと1970年代に重症高血圧の治療薬として開発された成分で、服用した患者に体毛が濃くなる作用がみられたことから、外用の発毛薬へと応用された経緯があります1

日本国内では、ミノキシジルは外用薬(塗り薬)としてのみ一般用医薬品で認められており、内服薬は高血圧の薬としても薄毛の薬としても承認されていません。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」も、内服について「ミノキシジル内服の有用性に関して臨床試験は実施されていない」「男性型脱毛症に対する治療薬としても認可されている国はない」と明記しています1。つまりミノタブは、薄毛治療として正規に承認された薬ではなく、医師の自由診療や個人輸入で使われているのが実態です。

ミノタブが毛を増やすのは血管を広げて毛根への血流を増やすため

ミノキシジルは血管を広げる(血管拡張)作用を持つ成分です。頭皮の血管が広がると毛をつくる毛包(もうほう)まわりの血流が増え、毛の成長期が延びて、細く短い毛(軟毛)が太く長い毛へと育ちやすくなると考えられています。高血圧の薬として全身の血管を広げる働きが、副次的に発毛をうながすわけです。

ただし注意したいのは、「全身の血管に効く」という性質は、発毛と心血管系の副作用が表裏一体であることを意味する点です。塗り薬は頭皮に限って作用させるのに対し、内服は全身に届くため、毛が濃くなる作用(多毛症)も、血圧や心臓への作用も全身に及びます。

外用ミノキシジルは国内試験で非軟毛が24週で26.4本増えたが、内服の発毛は臨床試験で検証されていない

発毛の数値データがそろっているのは内服ではなく外用です。国内で行われた男性300名・24週間のランダム化比較試験では、脱毛部1cm²あたりの非軟毛(しっかりした毛)の増加が、1%ミノキシジル外用で平均21.2本、5%外用で平均26.4本と報告されています1。海外の男性393名・48週間の試験でも、増加本数はプラセボ3.9本、2%外用12.7本、5%外用18.6本と、濃度に応じて増えていました1

一方でミノタブ(内服)については、前述のとおり有用性を確かめる臨床試験が行われておらず、効果を保証できるエビデンスがありません1。内服のほうが実感を得やすいという声はありますが、それは全身作用による多毛も含んでおり、頭髪に限った発毛量を比較した質の高い試験は乏しいのが現状です。発毛の変化は外用でも一般に3〜6か月単位で評価するもので、すぐに結果が出るものではありません。

ミノタブの副作用は多毛症が約15%で最も多く、動悸やむくみなど心血管系の症状が用量に応じて起こる

低用量経口ミノキシジル(ミノタブ)の安全性を調べた、患者1404名の多施設研究(Vañó-Galvánら、2021年)では、有害事象の発現率は次のとおりでした2。最も多いのは全身の多毛症で、顔や腕など望まない部位の毛も濃くなります。

副作用 発現率 特徴
多毛症(顔・体毛が濃くなる) 15.1% 最も多い。中止に至ったのは0.5%
めまい感(立ちくらみ) 1.7% 血圧低下に関連
体液貯留・むくみ 1.3% 服用1〜3か月後に出やすい
頻脈・動悸 0.9% 多くは服用開始24時間以内
頭痛 0.4% 多くは軽度
眼の周りのむくみ 0.3% 体液貯留の一部
不眠 0.2%

この研究では、有害事象で服用を中止した人は全体の1.7%で、生命を脅かす重い有害事象は観察されなかったと報告されています2。ただしこれは医師の管理下で低用量を用いた結果である点に注意が必要です。発症と回復の時期には傾向があり、動悸は服用開始の最初の3日(多くは24時間以内)に現れやすく、慢性的に続けると落ち着く傾向があります。むくみは1〜3か月後(特に2か月ごろ)に遅れて現れ、多くは軽度で自然に治まると報告されています3

心臓・血管への重い副作用:ミノキシジル内服薬の添付文書(市販後調査欄)には、胸痛・心拍数増加・動悸・息切れ・呼吸困難・うっ血性心不全・むくみや体重増加など、重大な心血管系障害が起こりうると記載されています1。降圧用量のミノキシジルでは心臓を包む膜に水がたまる「心嚢液貯留(しんのうえきちょりゅう)」が最大3%に報告されており、低用量では極めてまれですが、過量服用や腎機能の低下がある場合などにリスクが高まります3。胸の痛み・息切れ・急なむくみが出たら、自己判断で続けず医師に相談してください。

ミノタブ内服とミノキシジル外用は、効果の出方も全身への負担も異なる

どちらもミノキシジルですが、届く範囲が違うため効果と副作用のバランスが変わります。発毛のエビデンスが明確で、心血管系への負担が局所にとどまるのは外用です。

項目 ミノキシジル外用(塗り薬) ミノタブ(内服)
国内での扱い 一般用医薬品として承認 発毛薬として未承認
学会の推奨度 A(行うよう勧められる)1 D(行うべきではない)1
発毛の臨床試験 国内外で複数あり1 有用性の臨床試験なし1
作用範囲 塗った頭皮中心 全身
全身の多毛 起こりにくい 約15%に出る2
心血管系への影響 小さい 動悸・むくみ等あり1,2
主な副作用 塗った部位のかゆみ・かぶれ 多毛・動悸・むくみ・めまい

このため、薄毛治療を始めるなら、まずは承認され学会も推奨する外用ミノキシジルや、AGAの原因に働くフィナステリド・デュタステリド(いずれも内服の推奨度A)1から検討するのが現実的です。

ミノタブは個人輸入だと健康被害が出ても公的救済の対象外になる

国内未承認のミノタブは、医師の自由診療で処方されるか、海外から個人輸入される形で流通しています。個人輸入は手軽に見えますが、リスクが大きい入手方法です。

個人輸入のリスク:未承認薬・海外医薬品を個人輸入して使い、健康被害が生じても、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となります4。さらに、含有量が表示と異なる粗悪品や偽造品が混じる危険があり、用量を誤れば心臓への負担が一気に高まります。日本皮膚科学会も、個人輸入での服用を医薬品医療機器等法の観点から問題視しています1

市販薬としてドラッグストアで買えるのは外用ミノキシジルだけで、ミノタブ(内服)が市販されることはありません。内服を検討する場合でも、必ず医師の診察を受け、血圧・心機能を確認しながら管理下で使うことが前提になります。費用は自由診療のため医療機関ごとに差があり、定価のような目安はありません。金額より先に、自分が使ってよい体質かを医師に確認することが重要です。

ミノタブが向かないのは高血圧・心疾患・妊娠中の人で、まず外用から検討するのが安全

全身の血管・心臓に作用する性質上、ミノタブは誰にでも勧められる薬ではありません。次のような人は特に慎重な判断が必要です。

  • 心臓・血圧に持病がある人:動悸・むくみ・心負荷が悪化する恐れがあり、内服は避けるのが基本です。
  • むくみや体重増加が気になる人:体液貯留が起こりやすく、症状を強める可能性があります。
  • 妊娠・授乳中、妊娠の可能性がある女性:安全性が確立しておらず使用しません。
  • 顔や体の多毛を避けたい人:全身の毛が濃くなる副作用は内服でほぼ避けられません。
  • これから薄毛治療を始める人:まずは承認・推奨されている外用ミノキシジルやAGA内服薬を医師と検討するのが安全です。

薄毛の悩みは深いほど「効きそうな強い薬」に手を伸ばしたくなりますが、ミノタブは未承認で全身に作用する薬です。自己判断や個人輸入ではなく、医師の診察を受けたうえで、自分に合った治療を選ぶところから始めてください。

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ミノタブについてよくある質問

ミノタブは外用より発毛しますか。

内服のほうが実感しやすいという声はありますが、内服の発毛効果を確かめた臨床試験は行われていません1。発毛の数値データがそろっているのは外用で、5%外用は国内試験で非軟毛が24週に平均26.4本増えたと報告されています1。「効く印象」には全身の多毛も含まれる点に注意が必要です。

ミノタブの副作用はいつ出て、いつ治まりますか。

動悸は服用開始の最初の3日(多くは24時間以内)に現れやすく、続けるうちに落ち着く傾向があります。むくみは1〜3か月後(特に2か月ごろ)に遅れて出やすく、多くは軽度で自然に治まると報告されています3。ただし胸痛や強い息切れが出た場合は中止して受診してください。

ミノタブはドラッグストアで買えますか。

買えません。市販されているのは外用ミノキシジルのみで、内服薬は国内未承認のため取り扱いがありません。個人輸入は健康被害時の公的救済を受けられず4、粗悪品のリスクもあるため避けてください。

飲むのをやめたらどうなりますか。

ミノキシジルは毛周期に働きかける薬で、中止すると徐々に元の状態へ戻っていくと考えられます。継続前提の薬であるからこそ、続けても安全な体質かを医師に確認し、定期的に経過を診てもらうことが大切です。

参考文献

1 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(CQ3 ミノキシジル外用:推奨度A/CQ14 ミノキシジル内服:推奨度D) リンク
2 Vañó-Galván S, et al. Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients. J Am Acad Dermatol. 2021. リンク
3 Characterization and Management of Adverse Events of Low-Dose Oral Minoxidil Treatment for Alopecia: A Narrative Review. J Clin Med.(PMC) リンク
4 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(個人輸入)」 リンク

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