AGA

デュタステリドはDHTを90%以上抑えるAGA薬。フィナとの違いと副作用

内海

デュタステリド(先発品名ザガーロ)は、抜け毛の原因物質DHTを作り出す酵素「5αリダクターゼ」のI型・II型を両方止めて、血中DHTを90%以上抑えるAGA(男性型脱毛症)の飲み薬です1。II型だけを止めるフィナステリド(プロペシア)より作用範囲が広い一方、性機能に関する副作用がやや出やすい薬でもあります。国内の長期投与試験では、何らかの副作用が報告されたのは120例中16.7%で、勃起不全10.8%・性欲減退8.3%・射精障害4.2%という内訳でした2。この記事では、効く仕組み・効果が出る時期・副作用が出る確率と戻るまでの目安・フィナステリドやミノキシジルとの違い・誰に向くか・値段と入手方法を、PMDAの添付文書と臨床試験データに沿って整理します。変化の出方には個人差があります。

デュタステリドは5αリダクターゼのI型とII型の両方を止めてDHTを減らすAGA内服薬です

デュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)に使われる飲み薬です。日本での承認上の効能は「男性における男性型脱毛症」のみで、女性や20歳未満は対象外です1。先発品は「ザガーロカプセル」、後発品(ジェネリック)は「デュタステリドカプセル」として複数のメーカーから出ています。

AGAの抜け毛は、男性ホルモン(テストステロン)が5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素によって、より強力なDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで進みます。DHTが髪の毛根に作用すると、髪が太く長く育つ前に抜けてしまう「ヘアサイクルの乱れ」が起こります。

この5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があります。デュタステリドは両方を止めるのが特徴で、その結果DHTを強く減らせます。フィナステリドはII型だけを止めるため、DHTの抑え方はデュタステリドより緩やかになります。

規格はザガーロ0.1mgと0.5mgの2種類があります。添付文書の用法・用量は「通常0.1mgを1日1回経口投与し、必要に応じて0.5mgを1日1回経口投与する」とされ、日本でAGA治療として一般的に使われるのは0.5mgです1。0.5mgが安定して体内に行きわたると、血中DHTを90%以上抑えられると報告されています1

デュタステリド0.5mgは血中DHTを90%以上抑えると報告されています

デュタステリド0.5mgを1日1回続けて血中濃度が安定すると、血中DHTが90%以上低下すると添付文書・製品情報に記載されています1。I型・II型の両方を止めるため、II型だけを止める薬よりDHTを強く減らせるのがデュタステリドの作用上の特徴です。

用量と作用の関係については、デュタステリドとフィナステリドを比べた海外の試験(24週間、デュタステリド0.05〜2.5mgの各群とフィナステリド5mg、プラセボを比較)があります。この試験では、頭頂部の毛髪数の増え方はデュタステリドの用量が上がるほど大きくなり、デュタステリド2.5mg群が12週・24週でフィナステリド5mgを上回ったと報告されています3。ただしこれは日本の承認用量0.5mgではなく2.5mgでの結果です。承認用量である0.5mgで同じ差が出るとは限らない点には注意してください。

用量によって結果が変わります:「フィナステリドを上回った」という海外データはデュタステリド2.5mg群のものです。日本で使われる0.5mgとは用量が異なります。0.5mg同士・実際の毛量での直接比較データは限られるため、数値はあくまで報告の一例として受け取ってください。

デュタステリドの効果を判定するには通常6か月の継続が必要です

添付文書では、効果を評価するには通常6か月の治療が必要とされています。投与開始から12週(約3か月)で変化が見られる場合もありますが、最終的な判断には半年ほどかかります1。実感までの目安は次のとおりです。

  • 1〜3か月:初期脱毛が起こることがあります。ヘアサイクルが切り替わる過程で一時的に抜け毛が増えるもので、その後落ち着く人が多いとされます。
  • 3〜6か月:抜け毛が減り、産毛が増えてくる人が出てきます。
  • 6か月〜:毛量の変化を判定できる時期です。添付文書が6か月の継続を求めるのはこのためです1
  • 12か月〜:変化を維持するには、その後も服用を続けるのが前提です。

立ち上がりに時間がかかる理由のひとつが、デュタステリドの半減期が約3〜5週間と長いことです4。飲み始めてから体内の薬の量が安定するまで時間がかかり、効果の判定にも数か月を見る必要があります。

飲むのをやめると元に戻ります:デュタステリドはDHTを抑えている間だけ作用が続きます。中止するとDHTが戻り、数か月から1年ほどかけて服用前の状態に向かって進むのが一般的です。半減期が長いため体内に成分が残る期間も長く、中止後しばらくは作用が残りますが、最終的には元に戻ります。続けることが前提の薬です。

デュタステリドの主な副作用は性機能障害で、勃起不全10.8%・性欲減退8.3%・射精障害4.2%でした

国内の長期投与試験(総症例120例)では、何らかの副作用が報告されたのは16.7%(20例)でした。内訳として多かったのは性機能に関するもので、発現率は次のとおりです2

副作用 発現率(国内長期投与試験 n=120) 性質
勃起不全(ED) 10.8%(13例) 中止で戻ることが多い
性欲(リビドー)減退 8.3%(10例) 中止で戻ることが多い
射精障害 4.2%(5例) 中止で戻ることが多い

なお、より規模の大きい国際共同第II/III相試験では、勃起不全が4.3%、性欲減退が3.9%と報告されており、試験によって発現率には幅があります2。いずれの試験でも、最も多い副作用は性機能に関するものという傾向は共通しています。

いつ出るか:性機能の副作用は服用開始後の数週間から数か月のあいだに現れることが多いとされます。いつ戻るか:多くは服用を続けても軽くなる、または中止すれば戻るとされ、戻るまでの期間は数週間から数か月が目安です。ただし、まれに中止後も症状が続いたという報告があり、いわゆるポストフィナステリド/デュタステリド症候群と呼ばれます。頻度ははっきりせず、まれとされますが、症状が長引く場合は医療機関で相談してください。

そのほか、頻度は低いものの肝機能の数値異常や、男性の乳房が張る・痛む乳房障害が報告されています。乳房のしこりや分泌物などの変化に気づいた場合は受診の対象になります1

女性と子どもはカプセルに触れてはいけません:デュタステリドは皮膚からも吸収され、妊婦が触れると男性胎児の生殖器の発達に影響する可能性があります。女性・子どもはカプセルに触れないこと、漏れた中身に触れたらすぐ石けんと水で洗うことが添付文書で求められています1
服用中と最終服用から6か月は献血できません:デュタステリドは半減期が約3〜5週と長く4、体内に成分が残る期間も長くなります。輸血を通じて妊婦に成分が渡るのを防ぐため、服用中および最終服用日から6か月は献血が認められていません。献血の際は日本赤十字社の基準に従ってください5

デュタステリドとフィナステリドは止める酵素が違い、DHT抑制も副作用頻度もデュタステリドのほうが高めです

デュタステリドとフィナステリドは、同じ「5αリダクターゼを止める」系統ですが、止める範囲が違います。報告されている数値を並べると次のようになります。

項目 デュタステリド(0.5mg)デュタステリド(0.5mg) フィナステリド(1mg)フィナステリド(1mg)
止める酵素 I型・II型の両方 II型のみ
血中DHT抑制 90%以上1 約70%とされる
勃起不全の発現率 10.8%(国内 n=120)2 試験により数%程度
性欲減退の発現率 8.3%(国内 n=120)2 試験により数%程度
日本での効能 男性型脱毛症1 男性型脱毛症

報告をまとめると、DHTを抑える力はデュタステリドのほうが大きい一方、性機能の副作用もデュタステリドのほうがやや出やすい傾向があります。どちらが合うかは進行度・体質・優先したい点によって変わります。

デュタステリドはDHTを抑える薬で、発毛を促すミノキシジルとは役割が異なります

AGA治療でよく併せて検討されるのがミノキシジルです。デュタステリドが「DHTを減らして抜け毛を抑える(守りの薬)」のに対し、ミノキシジルは「毛根に働きかけて発毛を促す(攻めの薬)」もので、作用の仕組みが異なります。攻めるポイントが違うため、両者を併用する治療方針が取られることもあります。

ミノキシジルには塗るタイプ(外用)と飲むタイプ(内服)があり、内服は日本ではAGAに対して承認されていません。併用の可否や組み合わせは体質や状態によって変わるため、医師の診察のうえで決める領域です。

デュタステリドは進行したAGA向きで、初期の薄毛や予防目的ならフィナステリドが選ばれることもあります

デュタステリドが向きやすいのは次のような人です。

  • 進行したAGAの人:DHTを強く抑えたいケース。前頭部・頭頂部が広く進んでいる場合など。
  • フィナステリドで十分な変化を感じなかった人:II型だけでなくI型も止めることで、作用の幅が広がる可能性があります。

一方で、デュタステリドが最初の選択になりにくい人もいます。

  • 初期の薄毛・予防目的の人:まずはフィナステリドで十分なことが多く、副作用の頻度がより低い点も考慮されます。最初からデュタステリドを選ぶ必要は必ずしもありません。
  • 性機能の副作用を強く避けたい人:頻度がやや高いため、フィナステリドという選択肢が検討対象になります。

次に当てはまる人は使えない、または注意が必要です。

  • 女性・20歳未満:効能の対象外で、女性は触れることも禁止です1
  • デュタステリドや他の5αリダクターゼ阻害薬に過敏症の既往がある人:禁忌です1
  • 重い肝機能障害のある人:デュタステリドは主に肝臓で代謝されるため、慎重な判断が必要です1
女性の薄毛は別の治療になります:デュタステリドは女性には使えません。女性の薄毛(FAGA・びまん性脱毛など)は原因も治療法も男性と異なるため、女性の方は女性の薄毛を扱う医療機関で相談してください。
PSA検査を受ける予定がある人は申告を:デュタステリドは前立腺がんの指標であるPSA値を6か月でおよそ半分に下げることがあり、検査結果の解釈に影響します。検査時は服用中であることを医師に伝えてください1

デュタステリドは市販されておらず、医療機関の処方で入手します

デュタステリド(ザガーロ・ジェネリック)は医療用医薬品で、ドラッグストアや薬局のカウンターでは取り扱いがありません。入手には医師の診察と処方が必要です。近年はオンライン診療で診察から処方・配送まで対応する医療機関も増えています。

AGA治療は保険のきかない自由診療のため、費用は医療機関ごとに異なります。あくまで個人の印象としての目安ですが、先発のザガーロは月額1万円前後、後発のデュタステリドカプセルは月額数千円程度から、というイメージで、後発のほうが処方料を抑えやすい傾向があります。実際の金額は受診する医療機関にご確認ください。

個人輸入は避けてください:海外通販や個人輸入の代行で入手した薬は、成分量が不正確だったり偽造品が混じったりするリスクがあります。さらに、副作用が起きても国の医薬品副作用被害救済制度の対象外になります。国内の医療機関で診察を受けて入手してください。
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デュタステリドに関するよくある質問

デュタステリドはいつ・どう飲みますか。食事の影響はありますか。

1日1回1カプセルを、毎日できるだけ同じ時間に飲みます。食事の有無による飲み方の指定は強くありませんが、毎日続けやすいタイミングを決めて飲み忘れを防ぐことが大切です。

デュタステリドの値段はどれくらいですか。

自由診療のため医療機関ごとに異なります。個人の印象としての目安は、先発のザガーロが月額1万円前後、後発のデュタステリドが月額数千円程度からというイメージです。正確な金額は受診先にご確認ください。

効果が出るまでどれくらいかかりますか。

添付文書では効果の判定に通常6か月の継続が必要とされています1。3か月ほどで変化が見られる人もいますが、判断の目安は半年です。半減期が長いため立ち上がりにも時間がかかります。

初期脱毛は本当の抜け毛ですか。

服用開始から1〜3か月ごろに抜け毛が増えることがあり、初期脱毛と呼ばれます。ヘアサイクルが切り替わる過程で一時的に起こるもので、その後落ち着く人が多いとされます。長く続く・抜けすぎると感じる場合は受診の対象になります。

ミノキシジルと併用できますか。

デュタステリド(DHTを抑える)とミノキシジル(発毛を促す)は仕組みが違うため、併用する方針が取られることもあります。可否や組み合わせは体質・状態によるため、医師の診察で決めます。

やめどき・やめたら髪はどうなりますか。

中止するとDHTが戻り、数か月から1年ほどかけて服用前の状態に近づきます。変化を維持するには継続が前提です。やめる判断は自己判断ではなく医師と相談してください。

飲み忘れたらどうすればよいですか。

気づいた時に1回分を飲み、次の服用が近い場合は1回飛ばします。2回分をまとめて飲んではいけません。

市販で買えますか。

取り扱いはありません。医療用医薬品のため、医師の診察と処方が必要です。

参考文献

1 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(効能・効果、用法・用量、使用上の注意、血中DHT抑制、PSA)/PMDA医薬品情報 リンク
2 PMDA「ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg に係る医薬品リスク管理計画書(RMP)」(国内長期投与試験・国際共同第II/III相試験の副作用発現率) リンク
3 Olsen EA, et al. The importance of dual 5alpha-reductase inhibition in the treatment of male pattern hair loss: results of a randomized placebo-controlled study of dutasteride versus finasteride. J Am Acad Dermatol. 2006;55(6):1014-23. リンク
4 ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 医薬品インタビューフォーム(薬物動態・消失半減期)/グラクソ・スミスクライン リンク
5 日本赤十字社「献血をご遠慮いただく場合」(デュタステリド等の服用と献血制限) リンク

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